経営指針は「ロマン」と「そろばん」 三原支部定時総会
(感想1)
三原支部会員の皆様には、日頃より同友会活動に深いご理解とご協力を賜りまして、誠にありがとうございます。また、先日の三原支部総会には、何かとお忙しいところご出席をいただきまして、重ねて御礼申し上げます。さて、アベノミクスによる景気回復が期待される昨今ではありますが、放たれた矢は企業や末端の市民生活には届いていないようで我々を取り巻く環境も依然として大変厳しい状況にあると考えている企業も少なくないようです。
総会にて議決された本年度のスローガンは昨年に引き続き【社員が輝く企業づくり~信じて任せる! 「がまん」がポイント~】となっています。
任せることは大切な事です。しかし任せる前に経営者は進む方向を示してやる必要があります。方向を示さずに任せるのはただのほったらかしになってしまいます。その方向性を成文化したものが経営指針です。かつての福山支部会報の中で経営指針を社員の前で発表することは社員にケンカを売るようなものだとどこかの経営者が言ってました。
しかし、自らすすんで社員にケンカをふっかける社長がいるでしょうか?結果的にではありますが、社内に混乱を起こすことを目的として指針を作ろうとする者がいるでしょうか?今の会社の状態がベストとは思わないが、どうしていいかわからない。どうしていいかわからないが、今の会社がそこそこ儲かっている、社員がそこそこ頑張ってくれている、自分がそこそこ生活が潤っている。そんな現状ならば誰も本気で改革なんてしたいとも思わないし、まわりから改善すべきだと言われても本気でしようとは思わないでしょう。良い事だと思ってはいても本気で取り組もうとは思わないでしょう。今のままでは決して良いとは思わないが切羽詰まった問題がない以上、わざわざ波風を立てたくはないと考えている経営者は多いと思います。
同友会では経営理念・経営方針・経営計画を合わせて経営指針と言っています。経営者の多くは経営理念や方針は作っても経営計画のチェックが自分に甘いのが弱点だと言われています。私を含め中小企業では社長に厳しいことを言う幹部社員はなかなかいません。しかし厳しい意見を言ってくれる同友会の仲間が社外重役の役目をしてくれます。自分では気が付かない自社の弱点や思い違いを指摘してくれる良き仲間は経営者にとっては大いなる財産でもあります。
他の会員から指摘されたり、助言されたりすることがうっとおしく感じていませんか?現状を打破するのは非常に難しいと思います。しかし変化を望んでも変わらないのを人のせいにして、変わらないことを一番安心しているのは自分自身じゃないないですか?改革の一番の抵抗勢力は自分自身になっていませんか?
「自社の本当の経営課題を見つけることが出来た人は本気で活動するもんだ」と全研で言っていた人がいました。皆さん!もっと悩みを仲間にぶつけ合う事から始めませんか?
(感想2)
5月24日に三原支部も第5回の定時総会を迎えました。総会後に行われた基調講演【経営指針は「ロマン」と「そろばん」~思い(理念) を実現していく同友会型企業とは~】株式会社いづよね 代表取締役 川崎恭雄氏(兵庫同友会) のレポートをさせていたただきます。
株式会社いづよねさんは、お米屋さんです。川崎恭雄さんは4代目になるそうです。そして川崎社長は、まだ30代ですがとてものびのびと前向きに会社を経営されています。昨今の大型スーパーの進出や町の米屋の不利な点もものともせず、お店を充実させてお客様に愛されるお米屋さんを作っています。
その思いの芯となっているのが「お客様と友達になりたい」「お米であなたを笑顔にしたい」という思いです。その思いのもと、川崎社長はどんどんお客様に喜んで頂けるアイデアを実際にサービスとしてお店に盛り込んでいきます。お店は繁盛していきますが利益率はそれほどまで伸びません。それでも川崎社長はいいと思っていました。それを同友会の例会で発表しましたが、その後の懇親会で先輩経営者に懇々と夜中の2時3時まで「きちっと利益を出さないでどうする。今はいいかもしれないが5年10年して立ち行かなくなったとき悲しむのは、いづよねのお米を楽しみにしているお客さんなんだぞ!」と諭されます。新たな気付きをえた川崎社長は、自社のお米の品揃えをブランド米にしていき、お客様が少量でいろいろなブランド米を購入できるやり方を導入したり、地域のおいしいと評判の飲食店に自社のお米をつかってもらい(価格ではなく質で勝負) そのお店に「いづよねのお米を使用!」と張り紙してもらいそこに来たお客様のなかでも気付かれる方は、この辺でおいしい飲食店はほとんどいづよねのお米を使ってるねと飲食店のお客様から自分のお米屋のお客様になられたりしているそうです。
また、昨年度は町の米屋が新卒採用ということで初めて新卒を採用されました。そして今年も中小企業家同友会の共同求人に参加して社長が説明を行い着座数が参加企業第1位でだったそうで、仲間に自慢したところその一人が「だけどうちは前年入社した社員が説明を行い2位だったので、社員の成長という点ではうちのほうが一歩リードしてるね」と言われ悔しい思いをした、と自社で言ったら「では次年度は、私たちだけで1位をとります」と新入社員に言われ、とてもうれしかったそうです。
そうした皆で切磋琢磨できる兵庫県中小企業家同友会はすばらしいなと思い、三原支部ももっともっと会員が切磋琢磨できる会作りをしていきたいと思いました。