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2017.04.07

会員の経営状況~アンケート調査(※①)より 今春の賃上げ、半数が実施(2014年12月号)

円は二年前に比べ五〇%も安くなりました。円安によって好業績をあげる輸出型企業がある一方で原材料や燃料は高騰し、内需型の企業にとっては逆風になっています。民間の受注が難しいくらい公共工事は増えていますが、消費税増税による売り上げの反動減は続いています。アベノミクスが始まって二年、会員の皆さんの経営課題は何か、アンケートの要点を紹介します。

(※①実施期間:10月10日~31日 回答数:340人。※②DI値=「良い/悪い」「上昇/下落」といった定性的な指標を数値化して、その傾向をみる。DIが100に近づくほど良い(上昇)、△100に近づくほど悪い(下落)ことを意味する)

1)現在の経営状況~「良」いと「悪い」が拮抗

 

 現在の経営状況を判断するDI(※②)は2と昨年と同水準です。「良い」、「どちらとも言えない」、「悪い」がそれぞれ三分の一ずつに分かれました。記述の回答では「消費税増税後の売上の落ち込みから回復ができない」、「原料価格が大幅に上昇する一方で価格転嫁が非常に厳しい」などの声が寄せられ、言われているほど景気回復は広がっておらず、一部では消費税不況、円安不況の様相も見せつつあるようです。
 経営上の問題点では、今回も一位だったのは「価格競争の激化」(41%)。第二位は「従業員の不足」で四人に一人(27%)の方が指摘しました。また、「税・社会保険の負担増」(18%)は七年間増え続けており、法人税・消費税や社会保険料の負担感が大きくなっていることが分かりました。
 経営上の力点では、一番に「付加価値の増大」(55%)、二番目に「新規受注(顧客)の確保」(51%)があげられました。三番目に「社員教育」(40%)、四番目に「人材の確保」(29%)が続きましたが、いずれも前年にくらべ回答率が高くなっており、「人」の問題がクローズアップされています。
 昨年金融円滑化法は終了しましたが、資金繰りのDI値は33と、前年以上に資金繰りは緩やかになっています。

2)多様な人材の活用について

 必要な人材の確保については50%、まさに半数が「不足気味」と答えました。続いて、将来的な人材確保の観点から「ダイバーシティ」(女性や障害者・高齢者の活用など、多様な雇用のあり方)への取り組みについて聞いたところ、21%がすでに取り組んでおり、40%が取り組みたいと考えていると答えました。

3)アベノミクスと賃上げ~今春、半数が賃上げ

 あなたは経営者として、来春、従業員の給与を引き上げますか。
       選択肢                           回答数  回答率
1.今春も賃上げしたし、来春も行う             89 26.2%
2.今春は賃上げしたが、来春はしない           17  5.0%
3.今春は賃上げしたが、来春はわからない       73 21.5%
4.今春は賃上げしなかったが、来春は行う       10  2.9%
5.今春は賃上げしなかったが、来春はわからない 44 12.9%
6.今春も来春も、賃上げはしない               51 15.0%
7.その他                                     32  9.4%

 政府はアベノミクス前進の一つとして、給与の引き上げを重要視していますが、経営者として賃上げをどうしたか、どうしたいかについて聞きました。
 「今春賃上げをした」と答えたのは53%、半数近い方が賃上げを行っていませんでした。また、「来春賃上げする」と答えたのは29%です。賃上げしたという方の中では、「毎年、3~5%の給与引き上げをしている。継続しただけ」と当然という声や「社員さんの生活を保障したいから」という生活重視の声がありました。
 また、「消費税への備え、もろもろ値上がりしているから、家族生活を支援のためにも定昇やベアアップが経営の課題となってきている」との悩みや「せめて消費税増税分は引き上げたいが、今後の業績が不透明だから」、「状況が厳しすぎる。一部の業種・企業での賃上げをアピールすることで政策の良さを国民にアピールしたいのだろうが、実際は賃上げに簡単に応じられるような経済状況ではないのでは?」と引き上げを見送っている声も多数寄せられました。
 「日本企業は空前のお金持ちになった。手元資金は七三兆円と過去最高水準」との報道(12/5 日経)にもあるように、確かに大企業は利益を順調に稼いでいるようですが、多くの中小企業にはそのトリクル(したたり)は落ちてきていないのが実態です。衆議院選挙が終わり、与党が圧倒的多数を占めました。地方の中小企業を元気にする第三の矢に、注目したいと思います。