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2017.03.31

憲章・条例推進&県政策委員会 合同学習会 中小企業の見地から展望する日本経済ビジョン 報告者

報告者‥中同協 事務局次長  斉藤 一隆 氏

はじめに~これまでの経過

 2003年の全国総会で中小企業憲章・中小企業振興基本条例制定運動を提起し、2009年6月には中同協が中小企業憲章草案を発表、2010年6月、当時民主党政権下で、中小企業憲章が閣議決定されました。しかし、同じ日に発表された「新成長戦略」には、中小企業の位置づけについてあまり触れられておらず、中小企業の立場から成長戦略を提起する必要がある、ということで検討が始まったのが日本経済ビジョンです。
 これまで時代の流れを受けて幾度かの改訂を経ていますが、あくまで討議資料という位置づけです。

「日本経済ビジョン」はなぜ必要か

 日本経済ビジョンは日本経済のありたい姿をできるだけわかりやすい形で示したものです。
 そもそもなぜこのようなビジョンが必要なのかというと、日本の抱える構造的・質的問題が背景(経済の長期停滞・格差の拡大、グローバル競争の激化、環境・エネルギー制約、少子高齢化、財政赤字、地域の疲弊など)です。こうした経済のしくみの転換には、長期的視点に立った経済ビジョンが必要となる一方、政府などのビジョン・成長戦略には、中小企業の視点が不十分です。そこで、中小企業の見地に立った「日本経済ビジョン」が必要となってきます。

「日本経済ビジョン」の理念と位置付け

 日本経済ビジョンは政府が閣議決定した中小企業憲章、同友会が発表した中小企業憲章草案の二つを理念(具体的には以下の四つ、①中小企業は日本経済の柱②社会的にも重要な役割③政策決定に中小企業の声を聞く④国民が国づくりの主体)としています。
 このような全体的・長期的方向性であるビジョンと各地中小企業振興基本条例制定・具体化などの各種運動や各分野・テーマごとのビジョンや宣言、地域的課題を踏まえた「地域経済ビジョン」、各社の経営方針とが相互に影響しあっています。

「日本経済ビジョン」が提起する日本経済の七つの方向性

「日本経済ビジョン」は以下の七つの方向性を示しています。
①多様な産業の存在と中小企業が発展の源泉となる日本経済を築こう
②「国民一人ひとりを大切にする豊かな国づくり」のための内需主導型経済をつくろう
③地域内循環を高め、地域資源を生かした地域経済の自立化をめざそう
④エネルギーシフトで持続可能な社会をめざそう
⑤若者が人間らしく学び、働き、生きることができる労働環境をつくろう
⑥大企業の社会的役割・責任が十分に発揮される社会を築こう
⑦成熟社会とグローバル化に対応する新しい仕事づくり・産業づくりをすすめよう
 これらの方向性を元に広島でも論議を深め、国からの政策・提案・考え方だけに依拠するような「広島版経済ビジョン」ではなく、地域の人たちが地域の実態に基づき力を合わせ地域の発展を考える「広島型経済ビジョン」を作っていただきたいというのが、討議資料のねらいです。
 各地同友会でもそれぞれのビジョンづくりの動きが始まっています。こうした取り組みが全国に広がることが期待されます。
 
※「日本経済ビジョン」が提起する七つの方向性の詳細は「日本経済ビジョン」でご確認ください。http://www.doyu.jp/から入手することができます。