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2017.02.28

役員オリエンテーション 第2講 「役員の役割とは? ~会活動と企業経営は車の両輪~」

DSCN0569報告者 ㈱勝矢和裁 会長  勝矢 珠容子 氏(同友会 代表理事)

●入会動機は共同求人

 当社は着物の縫製をしています。かつて業界全体で二兆円だった売上も、近年は三千億弱にまで減少しています。私が和裁の仕事を始めたのは、手に職を、と母の薦めがきっかけでした。結婚後も和裁の仕事を続け、縁あって和裁学校の先生になりました。それから八年後、夫と勝矢和裁を立ち上げました。
 私が同友会に入った目的は、新卒採用でした。共同求人活動に参加した一年目の年、運よく三名の新卒を採用することができました。ところが新入社員が入社することで、これまで和裁学校で先生と生徒だった関係が、企業の社長と社員の関係に変わりました。社員となると給与を払い、社会保険の加入も必要です。この急激な変化に会社の財政も苦しくなり、社内の雰囲気も悪くなりました。
 私は会社を何とかしたいと思い、丸山先生の経営指針セミナーを受講しました。そして入会から五年後、経営指針書を作成しました。現在は指針書に年間カレンダーや組織表、社長の思いを掲載し、毎月一度の全体会議を開催しています。
 改めて当社は指針書があるから今がある、と感じています。どんな形でもいいから経営指針書は必要です。そして作ったからには、発表をしないと意味がありません。最初は仲間内の発表でもかまいません。それを続けていくうちに、徐々に自社の経営指針の形になってくるのです。

katuya

●自社で実践したこと

 役員になると多くの人に出会い、人よりたくさんの情報を得ることができます。私も役員になったことで、出会えた人がたくさんいます。
 二〇〇二年からの二期は、広島中支部の求人社員教育委員長を受けました。この役を受け、「毎年求人するからには、それにふさわしく、しっかりした会社にしないといけない」と、思うようになりました。それまでは社員だけが参加していた新入社員研修にも初めて参加し、改めてその良さに気付きました。しかし、研修から戻ると、ほかの社員は社員教育を受けていないことに気づきます。そこから会社全体の社員教育の必要性を実感しました。その頃に求人社員教育委員会の役員をした仲間とは、委員会のことだけでなく、お互いの経営について相談しあう仲間となり、今でもその関係が続いています。
 二〇〇六年から県女性部会担当理事になり、育児や介護と仕事の両立支援に取り組みました。社員と経営者の距離が近い中小企業では、大手にはできない社員のケアができます。社員一人ひとりの家庭の状況を知っていれば、その人に合った働き方のフォローもできます。そして、社内で情報共有してみんなで助け合えるマルチスキルができれば、少しくらい人が休んでも対応できる会社になれると学びました。

2017-02kenn (7)

●リーダーが本気になる

 その後、広島中支部長を経て、副代表理事を六年間務め、地区会長連協を担当しました。ここで初めて、支部や地区で地区例会の進め方が異なることに気づきました。私は毎月の例会で体験発表をすることすら知りませんでした。役員は経営の勉強をする同友会で、支部や地区がおかしな方向に向かっていると思ったら、きちんと伝える必要があります。
 リーダーが本気になると、その組織は変わります。私も役員をしていなかったら、この意識は変わらなかったと思います。これは同友会の組織だけではありません。会社も同じです。組織運営だけでなく、学んだことを自社で取り入れ、実践することで会社が変わっていくのです。

●役があったからこそ、今がある

 役を受けたら、次の人を育てることが必要です。バトンを受ける人も、次に自分が役員になったら、何をしないといけないか考える時間が生まれます。かつて、社長であった夫が亡くなったときに、ナンバー2だった自分も勉強しておいた方がよかったと思いました。何の準備もないままで引き継ぐと、社員も不安になります。私は同友会の役員を受けたからこそ、今の会社・自分がいる、と思っています。