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2017.02.28

役員オリエンテーション 第4講 全社一丸の会社をつくろう ~ 労使見解に学び、人を生かす経営をめざそう ~

okugouti (1)報告者:㈱テクシード 代表取締役  奥河内 博夫 氏(同友会 副代表理事)

◆いい人に育てる◆

 求人している企業さんは、「いい人が欲しい」と言われます。一方で、相手もいい経営者を求めています。
 以前は当社も辞める社員が多かったです。当時は社員が辞めることを人のせいにしていました。実際は社長が悪いから社員が辞めるのです。
 私は幸運なことに、入会後すぐに求人社員教育委員会に参加させていただきました。当時の委員会は、「そういうことでは、おまえの経営はいかん」と面と向かってはっきり言われるような会でした。
 その後、求人の正副委員長をさせていただいたとき、社員が退職する会社とそうでない会社について㈱ププレひまわりの梶原さんと意見交換をしたことがあります。結局のところ、経営者が一度言ったことを最後までやるか、やらないかだと言われました。
 そこまで厳しく言い合えるからこそ、委員会でたくさんの学びをいただきました。
 『人を生かす経営』を貫くことは、会社に社員が育つステージがあること、社員は変わっていくという確信を持つことだと思います。人は変わるし、人は育つのです。
 そういう意味で、いい人を求めるのではなく、「いい人に育てる」ことが経営者の役割ではないでしょうか。

okugouti (2)

◆社員をどう見るか◆

 同友会の共同求人活動は単なる人採り活動ではありません。やりがい、働く喜びを知ってもらい、採用したら育てるという理念を持っています。
 共同求人勉強会で「どんな人が採用したいか?」という話になりました。「やる気のある人」等、様々な意見が出てきます。しかし人にはいろいろな素質があり、そこを見つけて伸ばすのが経営者です。
 当社の三〇歳の社員が、マンションの大規模改修の担当になりました。技術的にはまだまだ未熟です。彼なりに自分にできることを考えたのでしょう。マンションのほとんどの住人の顔を覚え、毎日「○○さん、おはようございます」「○○くん、おかえり」と声をかけ続けました。こうして彼は見事にお客様の心をとらえ、無事に仕事を成し遂げました。
 人にはそれぞれ一つぐらいはいいところがあります。もし社員さんが三〇人いれば、会社に三〇個いいところがあることになります。中には三個も四個もいいところがある人もいますから、会社にはいいところが五〇個あることにもなります。「社員をどう見るか」が大事なのです。

◆経営者一人から社員全員の力を発揮する会社に◆

 経営者のキャラクターだけである程度の売上をあげることはできます。当社もそうでした。ところが、ある年突然売上が下がり始めました。結局、どんなに苦しい状況になっても社内には危機感がなく、社長一人ががんばる会社になっていました。
 間違った時には原因を知ること、学ぶことが必要です。そんな時こそ「中小企業家しんぶん」をよく読むといいヒントが書いてあります。
 自社の経営のどこが間違っているか、経営指針に照らしてみることです。もちろん社員さんが自社の経営戦略を学び一緒に経営計画を作ることが前提になります。
 実は社員教育は経営指針作りでできるのです。なりゆきまかせの経営ではできません。

2017-02kenn (9)

◆社員が辞めない会社に◆

 とある現場のオーナーさんが突然来社されました。こういうときは大抵いい話ではないので、身構えたのですが、なんと「ありがとう」と言いに来られたのです。
 八年前に新卒でその現場を担当した社員が、今回も同じ現場を担当しました。当時は頼りないと思われたそうです。しかし、今ではてきぱきと自分の気づかない事までやってくれて良かったと、わざわざお礼を言いに来て下さったのです。
 この社員が辞めずに成長したからこそ、感謝され、信頼される会社になったのだと思います。信頼とはそういう積み重ねではないでしょうか。
 会社に経営指針がなければ、希望がなく、努力して報われなければ、辞めてしまいます。努力したら五年先にこんな風になるよと示すのです。
 社員さんが自社に入るには、他の立派な会社で活躍する可能性を捨てて入っています。そういう覚悟が経営者には必要です。
 自分の脳みそで物事を考える人を育てる。自分がやろうとすることを描ける社員さんを育て、共にいい会社を創っていきたいと思います。