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2016.12.03

【同友ひろしま11月号】高校の先生方と経営者との懇談会  自発的な進路意識を持たせるために

高校の先生方と経営者との懇談会
 自発的な進路意識を持たせるために
~広島県立呉工業高等学校の取組み
【提起者】広島県立呉工業高等学校 進路指導副主事  山田 訓裕 氏

2016-11 02p 去る10月11日、クレイトンベイホテルで開催されました。この行事は、毎年春と秋の年2回開催している恒例の行事です。目的は、共同求人活動の一環であり、「教育」について意見交換し先生方と経営者の相互理解を深めることです。
 当日は、15校36名の先生と、32名の会員が参加しました。福岡同友会からも三名の方が参加され、山田先生の問題提起から「共に育つという視点」で学び合いました。

●呉工業高校のミッション

 問題提起は、前半は「生徒が将来を考えるための取り組み事例」。後半は「現状の進路状況」についてありました。
 山田先生の問題提起によると、現状として中学段階で呉工業高校と取り巻く現状は、①少子化、②理科離れ、③大学進学率の上昇を背景とする普通科志向の上昇。これを受け高校段階では、①「保護者と生徒の希望」を実現するために就職と進学の進路指導の両立が必要とのこと。県教委の進める「学びの変革」に沿いつつ工業高校らしい「ものづくり教育」を中心に据えた教育内容の充実を進めているそうです。
 その上で同校のミッションは「豊かな心と創造性を持つ人材の育成を図り、地域社会や産業界に貢献する」。ビジョンは「『知・徳・体・技』の調和のとれた、たくましく創造性豊かで、ものづくり技術を身に付けた工業技術者を育成する」。
 では、生徒のものづくりに対する興味付けや学習意欲の喚起をどう盛り上げていくか。入学から卒業に至るまで進路指導部を中心に、計画的・体系的にスケジュールを組み進めているそうです。
 二年生全員のインターンシップを例に、進学のことを知らずに就職希望を決める、その反対に就職のことを知らずに進学希望を決める、ということがないようにしているとのこと。山田先生の経験上、これほど多くの工業系企業が受け入れてくださるのは呉地域だけの特異点。モノ作りの街、呉にある工業系の高校として、地域の期待に応えることのできる若者を育てなければ、とのことでした。
 学校関係者への取り組みですが、同友会には企業見学ならびに経営者との懇談会への参加。校長の発案で初めて取組んだ本校の若手教員の企業実習。保護者に対して、子どもの就職を考える上で中小企業の実態を語る、等、協力をいただいています、とのこと。
 小中学段階の子ども達にむけには、工業系に関心が持てるよう実験を伴う出前授業をしているそうです。

●卒業生の七割が就職

 平成27年度は、卒業生168名中125名が就職(公務員含む)していました。ここ2年間は連続で就職者の割合が増加しているそうです。同校への求人数を示したデータでは、平成27年を100とすると、平成25年の55を底として、翌年から急激に増加していることが分かりました。
 就職先の九割は工業系の企業で、就業場所では約70%が呉市内の企業でした。地元志向の表れは生徒、保護者に共通する希望です、とのこと。進学者についてもいずれは呉市内で就職ということを耳にされるそうです。
 三年生の進路決定に関わるアンケートでは、自分の進路を真剣に考えた時期は、3年生の1学期がピークという結果が出ていました。
 進路決定に最も影響を与えたのは保護者(約90%)。続いて先生(約60%)、となっていました。
 就職希望者の受験先企業を決めた要因は、会社の場所、規模、給料(同率約35%)の回答が最も多く、続いて福利厚生(約三〇%)となっていました。
 内定者の思いとしては、どんな事があっても辞めずに頑張るつもりという回答が約七〇%を超えていました。
 データの中に、インターンシップの経験が生徒の就職・進学の意識を高めるという結果がありました。インターンシップは将来どうしていきたいか決めかねている生徒に対して、有効な取り組みであるようです。
 地元への就職希望が大きい分、地元で頑張っていらっしゃる企業の紹介に力を入れていきたい、とのことでした。

●保護者も巻き込んでは?

 その後、「自発的な進路意識を持たせるために」のテーマでグループ討論がありました。
 討論発表では、先生方から積極的な発言があり、例えば「企業を知る機会を保護者にも拡げられたら、進路選択が三位一体で行えると思った」などありました。