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2016.10.27

5.社員の本気が会社を大きく変える!~社員から見た日鐵内総幸福の向上~

九月福山支部例会(2016.9.7)

報告者  日鐵鋼業㈱ 代表取締役 能登伸一氏(副代表理事)
     日鐵鋼業㈱ 工場長 根本 理氏
進行役  ㈱タテイシ広美社 代表取締役 立石克昭氏(代表理事)

 

立石)能登さんは福山支部長に就任時に、GCH(Gross Company Happiness/企業内総幸福)をスローガンに掲げました。GCHと企業実践について教えてください。
能登)GCHは、ブータンの国民総幸福、GNH(Gross National Happiness)がヒントになりました。社員が幸せを感じ、活躍できる場を担保する会社を作りたい、という思いを込めています。自社では日鐵内総幸福の向上を経営方針に掲げ、「会社の見える化」「上辺ではないコミュニケーション」「誇りが持てる会社づくり」の3つを柱に、社内改革を進めました。会社が儲かったら、自分たちの生活も豊かになることを社員にわかってもらいたかったのです。
 
立石)根本さんはGCHをどう見ていたのでしょうか。
根本)僕の中では、社長が突然、「GCH!」と言い始めたと記憶しています。社員は経営者に比べ、いろんな面で余裕がありません。そんな中で企業内総幸福と言われても、ピンと来なかった気がします。それが、最近は3S(整理・整頓・清掃)活動を通じ、職場の改善がどれだけ売上につながり、その売上がどれだけ自分たちに還元されるのか、自分も含めて社員がわかるようになってきました。
 
立石)3S活動を始めた理由を教えてください。
根本)きっかけは工場の地盤沈下でした。足の踏み場もなかった工場で、社長が鉄の残材を次々と「捨てる!」と言い切る様子を見て、僕も本気で取り組む覚悟をしました。他の社員も処分することで快適な工場になるとわかり、そこから一気に社内に広まっていきました。
能登)3S活動中は、どんなに忙しくても週に1回は必ず会議を開き、みんなの合意を得てから進めました。彼とは、「見せる3S」ではなく「儲かる3S」にしようと言っていました。日鐵鋼業の3S活動は、みんなが幸せになるための活動なのです。
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立石)まさに社内総幸福ですね。根本さんは幹部社員として、ほかの社員にどう接していますか。
根本)社員は社長の何気ない一言だけでなく、表情や態度、声のトーンまでよく見ています。言葉の受け取り方も一人ひとり違い、自社でも、社長が意図したことと違う意味で社員が受け取っている場合があります。僕は相談に来た社員に「社長はそんな意味で言ったんじゃないよ」とフォローをすることもあります。社員は納得しないと、なかなか次のステップに進めません。経営者は思った以上に社員に見られていると思います。
能登)苦労をかけますね(笑)。社員が社長の一挙手一投足を見ているという話は、同友会でもよく耳にしてきました。私は「人を生かす経営」の一番のポイントは経営者が襟を正すことだと思います。今回、彼の話を聞きながら、改めて経営者の姿勢を勉強させてもらっています。
 
立石)社長の尊敬するところと直してほしいところは?
根本)僕は周りと激しくぶつかりそうになったりするのですが、そんな時に社長は穏やかにブレーキをかけてくれます。一方で僕の提案に対しては、入社当初から無下に断ることなく、前向きに受け止めてくれました。そんな大らかな心を尊敬しています。逆に直してほしいところは、忘れっぽいところです(笑)。
 
立石)社員は会社を良くしたいと心で思っていても、自分の発言で人間関係が壊れないか不安があると思います。
能登)私は社員の工夫や知恵が、ますます出る会社にしていきたいと思っています。私の経験上、耳の痛い発言をする社員ほど、秘めた熱い思いを持っています。経営者が伝えるだけでなく、聞くコミュニケーションを大切にしていけば、力になってくれる社員がそばにいることに気づくと思います。
 
立石)日鐵鋼業の社員は、自分たちの背景や内側に目を向けられる能登さんの優しさに気づき、一緒になって社内総幸福を作り上げてきたのだと思います。「人を生かす経営」では、「社員を単なる労働者としてとらえるのではなく、パートナーとして位置づけるべきである」と言っています。経営者と社員が手を取り合ってからこそ会社は成長し、お互いが幸せになれるのだと信じています。
(文責 事務局 本田)