広島4支部 同友会大学オリエンテーション 「企業変革支援PGで、根を張る会社に変化」
報告者 セイコー運輸㈱ 代表取締役 宮髙 豪 氏(大阪同友会)
●自己紹介
弊社は一九八一年に「赤帽木村運送店」として創業、これまでなかなか付加価値が付けにくく苦労しています。クロネコヤマト等の路線の事業が地域の領域に侵食してきています。皆さんも、運送賃はできるだけ安い方が良いでしょう。
我が社の売上構成は、緊急輸送一100%から現在では、緊急輸送50%、高齢者向けの引越しが20%。写真撮影業が残りという比率に変わっています。
私は、71年に生まれ、大学卒業後、信託銀行に就職。地域の中小企業経営者の皆さんと話す事で自分を高めたいという思いでした。小学生の頃は、家業を手伝い父親の苦労も見ていましたので、地域の中小企業のお手伝いをしたいという思いもありました。
しかし95年に阪神大震災、89年消費税3%導入、97年消費税五%に引き上げられます。96年より金融改革が実施、貸し渋りや貸しはがしといった問題もあがります。金融機関で中小企業にお役にたつことが難しい時期でした。
(その後、97年同友会で金融政策に関する緊急要望、2001年金融アセス署名運動に取り組みます。)
●債務超過寸前から第二創業「住むーぶ」へ
98年にセイコー運輸㈱に入社。決算書を見ると債務超過寸前、会社がいつ倒産してもおかしくない状態でした。その頃は、大手運送会社の下請け、価格決定権もありません。値下げも要求され、量的にも少なくなる…。このままではいけないと、大手の下請けをやめる決断をしました。2000年より引越し事業を開始します。
その頃、ある社員に「中小企業ってブランドは作れないんですかね?」の一言がその後の事業構築のヒントになりました。
●ブランド、連携事業の確立
自社の柱になる事業が何か、ずっと考えた末にたどり着いたのが「高齢者向け引越し」サービスでした。銀行員時代に公正証書遺言作成の仕事で高齢者の方々と関わっていたこともヒントになりました。
04年にはホームヘルパーの資格を取得。ヘルパーのいる引越し屋のスタートです。この事業を「住むーぶ」として商標登録もしました
11年には「住むーぶ」全国連携を開始し、現在東京、宮城など23事業所が参加しています(同業種・都府県連携)。
仕事柄、高齢者の方々の最期に関わる事もあります。その中で遺影写真がなかなかありません。13年には写真屋さんとコラボレーション構想をはじめます。同年、おおさか地域創造木リエイティブ連携・高付加価値ビジネス創造プロジェクトに採択され「フォトすむーぶ」(異業種・地域連携)がスタートします。15年には区役所も巻き込み、「シニアビューティー撮影会」を開催しました。
●企業変革PGの活用
セイコー運輸は8月末日が決算日です。毎年6月には社員と一緒に成熟度チェックをします。(step1、レーダーチャート作成)
14年から3年間の「中期経営方針」では、【顧客満足度を高める】(Ⅳ市場・顧客及び自社の理解と対応状況・Ⅳ①②③)、【住むーぶの競争力強化】(Ⅳ④)が重点課題になっています。
定点観測で顧客アンケートをみると、数年前は「価格」が顧客の優先順位でしたが、「電話対応」「安全・安心」が優先順位に変化しています。顧客要望の変化に合わせた全社的な対応が課題です。
●経営の根っこを強くしよう
最後に企業変革支援プログラムとは、労使見解(人を生かす経営)8つの章を5つのカテゴリー22項目に分解し、成熟度を確認できる最も同友会らしいツールです。全国4万5千名の会員の皆さんがe.doyuで登録すれば、会員相互に会社という「木の根っこ」を強くするツールになります。