4.《県青年部連協総会》志を付加価値に!ロマンとソロバンの両立で成長するお米屋さん!
県青年部連絡協議会 総会 ~記念講演~
(株)いづよね 代表取締役 川崎恭雄氏(兵庫同友会)
㈱いづよねは、神戸市東灘区、阪神電車の高架下にある明治22年創業、今年で127年目を迎える米屋です。
社員は3名、アルバイトを含めると14名です。街でがんばっている米屋さんでは毎月5~6トンのお米を扱っていますが、うちでは36トンほど扱っている少しは繁盛している米屋です。
阪神大震災で高架が崩れ、お店は5センチまで潰れてしまいました。1年後、高架の工事が終わり、店を再開することができました。
それまでは配達をメインに商売をしていましたが、亡くなられたり引っ越しされたりで、顧客数が大幅に減ったこともあり、店売りへ転換しました。
そこで当時流行っていたお酒のディスカウントショップを始めました。大繁盛しました。税務署管内の酒類の売上がダイエー、コープに続き、いづよねが第3位。しかし、規制緩和が始まるとディスカウントショップが乱立し、値引き競争に巻き込まれました。半年で売上は半減、2年で4分の1に減りました。
税理士からは、宅配専門に戻さないと危ないとまで言われる状況でした。同友会に入会したのはその頃でした。
お米に命を救われ理念を得る
ある日、寝ていると腰に激痛が走り、高熱が出、全く動けなくなり、緊急入院しました。ばい菌が脊髄に入り、そのばい菌が全身にまわり、良くて半身不随、最悪は命を失うと医師から告げられました。いくら薬を入れてもすぐに菌に耐性が付き、薬が効かなくなります。ばい菌を倒す可能性があるとすれば免疫力だと聞き、
免疫に関する本を読みまくりました。答えは「玄米食」でした。玄米を食べるようになって二週間で改善し始め、僅か二ヶ月で歩いて退院することできました。
このことで自分が米屋であることが天命だと思いました。美味しいごはんで食卓を囲めば笑顔になる。自分は食卓を笑顔にし、神戸を日本を世界を笑顔にするんだと決意ました。経営理念を手にし、真剣に米を売るようになりました。
ロマンとソロバン
心も体も元気になると青年部例会の報告者の声がかかりました。私はお米に対する思い、お米で世界を笑顔にすると熱く語りました。大きな拍手をもらいました。参加者の半分の方に。しかし、半分の方にはソロバンの話がないと突っ込まれました。前者は赤字経営者、後者は黒字経営者だと思います。
すぐに先輩から呼び出され、大説教されました。自分の理念に自信を持っていた私は初め熱く反論していましたが、後半は従順な羊状態になりました。ロマンとソロバンは車の両輪だ。お前はロマンの車輪が大きいから同じ所を回っている。両方が揃わないと前進しない。今のままでは未来がないと言われたのです。これをきっかけに、本気で経営数字、ソロバンの勉強を始めました。
先代に認められるということ
ある時、異物、石の混入があり、食べたお客様の歯が欠けるということがありました。お客様の厚意で大事に至りませんでしたが、色彩選別器付き精米器が必要だと決意しました。しかし、価格は600万円。まだ、財務的には厳しい状況の中、父は猛反対でした。殺されるのではというほどの大げんかになりました。
以前だと感情的なやりとりで終わったと思いますが、私にはソロバンがあります。10年の減価償却で月5万円。ディスカウント時代の大きなビール用冷蔵庫を撤去すれば、電気代4万5千円が浮くことなど、ロマンだけではなくソロバンでも説得したのです。それを理解した父は納得してくれました。父が後継者として認めてくれた瞬間だったかも知れません。
あこがれの会員になる
同友会で学び、徹底的実践すれば必ず会社が変わります。同友会は入っているだけでは何にもなりません。 増強も、休眠会員も私たち自身の進化していく姿にあこがれれば、入会もしてもらえるし、休眠会員も起きると思います。我々自身が進化し続けなければならないのです。
青年部は、青年部活動もあるし、支部活動にも関わる必要があります。この負荷こそが自分を成長させるチャンスなのです。これを乗り越えながら自社を発展させなければならないのです。(文責 事務局 源田)