活動レポート
2016.06.03

3.県総会・第2分科会「地域づくり」

04p1

問題提起者 川口護氏

「地域とともに生き歩む企業づくり」
問題提起者:㈱デイ・リンク 川口護氏(県理事)

●何のための仕事?~地域のほうしのため
 今、少子高齢化、特に高齢化率は年々高まっています。
 そのような環境下、大手スーパーが出店するたびに、地域の小さな八百屋さんや魚屋さんが消えている状況です。お客様近くにある買廻り店の経営が難しくなっています。
 当社は1916年に地域の皆さんの要望により利便性に応えるために創業しました。私自身は三男ですが、父から地域の奉仕のためにこの仕事を引き継いでほしいと言われて、東京で勤めていた会社を辞めて帰ってきました。
 立石さんが「地域で錦を織り続けよう」と言われるように、地域で愛される同友会らしい企業を目指しています。
 長野県伊那市にある伊那食品工業の塚越会長の言葉に「売上増も利益を出すは社員のため」という言葉があります。つまり、会社とは社員の幸せのために存在するということを明言されています。その伊那食品の愛にあふれる商品を使って健康で安心して食べられるものをお客様に提供したいと思い、羊羹づくりに取り組み、
メーカーさんと相談して商品化し、4月から販売し始めました。理念を共有できる会社の商品は安心です。
 経営理念が大切なのは、皆さんご承知の通りですが、経営理念があると、おのずと経営者の行動が決まります。
 二宮尊徳の言葉に「道徳なき経済は犯罪である。経済なき道徳は寝言だ」というのがあります。「あの経営者は、良いことを口では言うが…」でもいけません。

●「我々の町の誇り」と言われる企業をめざす
 大型店の出店攻勢の前に、中小小売店は生き残れるのか。それとも埋没してしまうのか。生き残るために、何が何でも黒字にしなければなりません。そのためにはお客様の求めるものを提供することです。これは誰でもやっています。
 以前、ウォルマート等大手チェーン店がしのぎを削るアメリカへIGA海外研修に参加しました。IGAはチェーン店舗数10店舗未満の独立店の会です。そこで訪問した店は、地域密着の店、素晴らしい笑顔で一生懸命我々を迎えてくれるスタッフでした。大手チェーン店が近隣に出店するにあたり、改装休業中の期間を利用してスタッフで笑顔・接客・理念の集中研修をされたそうです。
 ホームタウン・プラウド、私たちの町には素晴らしい店があると誇ってくださる店を経営理念を共有することで実現されていました。まさに、同友会でいう理念経営です。町の誇りと言ってもらえる企業になりたいと思いました。
 私どもの店は地域の半径300mで経営できることをめざしています。きめ細かいことをすれば他社が領域に入って来ても負けません。雇用もできるだけ近所の方を採用しています。シングルの方、子育て中の方、高齢者の方など様々な方が働いています。
 そして、高齢者の方が毎日化粧をして歩いて買い物に来て、対話することの効用を考えると、地域の買廻り店は重要な役割を担っています。今後は、地域の井戸端会議に参加いただける場づくりに一役買いたいと考えています。

04p2

座長の勝矢さんの軽妙なまとめに、笑いがこぼれた分科会終盤

●町内会運営にも同友会理念を生かす
 祖父の時代から私まで三代続けて町内会長を経験しています。町内会の役員をするとニーズやシーズが見えてきます。一方で、同友会の学びを取り入れ、町内会理念・指針を成文化しました。すると、ある役員さんがKJ法を使って、理念を実現するためには何が必要かフィッシュボーンにまとめてくれました。安全な町にするには夜回りの実施や街灯を設置。町の美化のために、清掃や地域ネコ問題に取り組みました。こうして理念を机上のものにせず実現することができました。赤石さんから学んだ、生きる・暮らしを守る・人間らしく生きる、の実践です。
 自社をよくすることが地域をよくすることにつながります。そして地域をよくするために、それぞれの地域にあった政策を考える中小企業振興基本条例や、中小企業経営に関わる税制、他団体との連携強化、エネルギーシフトについてしっかり学んでいかなければなりません。
 我々自身が地域の課題を見つけて多くの人を巻き込んで解決していきましょう。(記 事務局 青芝)