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2016.04.27

6.第11期役員研修大学(stepⅡ) 第9講 「人間尊重の経営の実践」 報告者 ㈱宮﨑本店 代表取締役 宮﨑 由至 氏 (中同協 副会長、三重同友会)

開催日時:
2016/03/12(土)
会場:
TKPガーデンシティ広島
人数:
48名
報告者:
(株)宮﨑本店 代表取締役 宮﨑 由至 氏 (中同協 副会長、三重同友会)
06p

宮﨑 由至 氏

時代をどう読むか
今年のサミット開催地が三重県の賢島に決まりました。実は、誘致に最後に手を上げたのが三重県でした。
今、サミット開催地の最重要事項は、交通アクセスではなく安全。ISをはじめとするテロの脅威からどう安全を確保するか。その課題解決には本土と二本の橋でしか結ばれていない賢島のロケーションは最適でした。
キーワードは現状認識と強み、弱みの認識とその逆転です。経営者は、時代がどうなっているのかをつかんでおかねばなりません。なぜなら、ビジネスモデルは、時代をはずれていると失敗してしまうからです。

価格競争から回避する
かつては「世界の亀山ブランド」と言われていたシャープの亀山工場。現在はどうでしょうか。「デジタル」では、システムができれば同じようなものが作れるので付加価値はつきません。ブランドにならないと、コモディティー(均質)では、結局、価格競争に巻き込まれ、世界中に安さを求めていくのです。これからは均質化されたコモディティー商品は通用しません。
実はブランド化しやすいのは中小企業です。理由は、シェアが関係ないからです。めざすべきはシャネルやルイヴィトンのような「ラグジュアリーブランド」です。カバンにおけるシェアはわずか1%ですが、売れているのです。
そのために経営者が考えなければならないポイントは3つあります。①顧客を決める、②市場を決める、③売り方を変える。マーケットを思い切って狭め、顧客を絞り込むことが必須です。

カルトマーケット
我が社では、日本酒の他に「キンミヤ」という焼酎も作っています。かつては、4リットルサイズを市場としていました。しかし、この市場では価格競争に巻き込まれてしまいます。思い切って90mlで100円とし、価格を上げたのです。小瓶化したねらいは、飲食店で瓶ごとお客様に出されることで、何の焼酎なのかを認知してもらうことでした。99%の人が嫌でも1%の人が良いと思う。これを私は「カルト(狂信的)マーケット」と呼んでいます。10年前と比べると売上は4倍になりました。

戦略はトップ 戦術は社員
「経営指針をつくっても浸透しない。どうしたらよいか」とよく質問されます。それは戦略と戦術の違いをわかっていないからです。戦略だけ作って、どう行動するかという戦術に落とし込めていないからです。同友会の経営指針は自社の方向性を示す戦略です。では戦術とは何でしょうか。戦略はトップの経営者がつくり、戦術は現場の社員がつくります。わが社で高い商品を小売り化すると方針を立てました。方針だけで売り上げは倍にはなりません。その方針をもとに、コンビニの担当部署、飲食店の担当部署などそれぞれの現場に即した戦術を社員が考えていきます。これが戦略を戦術に落とし込むということです。

未来工業の山田氏に学ぶ
亡くなられた未来工業の山田昭男氏(元中同協副会長)からは経営の先生のようにいろいろと教えて頂きました。
週40時間労働制について相談した時は、「お前のところは中小企業だろ。株主総会で労働時間を宣言するだけだ。労働時間を長くしてつぶれた会社はたくさんあるが、短くしてつぶれた会社はひとつもない」と言われました。この一言で、自社では業界初の週休2日日制を取り入れ、マスコミでも大きく取り上げられました。
未来工業の扉には「開けてなくても閉めろ」と張り紙がされています。人の少ない中小企業では「これは私の仕事」「これはあなたの仕事だから」と分けると事業は回りません。「開けたら閉めろ」だと扉を開けたその人の問題、「開けてなくても閉めろ」は会社みんなの問題になります。中小企業は全体を考えて協力しなければいけません。だからこそ未来工業の社是は「常に考える」なのです。
山田氏から教わったのは経営者の決意です。経営者の決意ひとつで企業は変わります。経営者が立てた戦略は絶対ぶれてはいけないということです。

【会社概要】創業‥1846年、事業内容‥酒類並びに食品製造及び販売、社員数‥63名、売上高‥40億円

(文責 事務局 木下)