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2024.01.22

「50周年を越えて新たな50年を展望する」~代表理事からの新春メッセージ~

《登場人物》
代表理事 粟屋 充博 氏(旭調温工業(株)     代表取締役社長)
代表理事 勝矢珠容子 氏((株)勝矢和裁       会長)
代表理事 立石 克昭 氏((株)タテイシ広美社 会長)
広報部長 原田 修治 氏((有)シーピーシー   代表取締役)

原田:明けましておめでとうございます。毎年のこのページは、代表理事の皆さんのご挨拶を掲載させていただいています。今回は少し趣向を変えて、対談風に会員の皆さんへのメッセージにしたいと思います。

■50周年事業の成果

原田:まず、2023年は広島同友会にとっては50周年の記念すべき年で、7つの周年事業をすすめ、第8次ビジョンの策定と法人化を除いて、ほぼ終了しました。どのように総括されますか?

粟屋:50周年記念事業として取り組んできた7つの事業の内、5つの事業を計画通り終了することが出来ました。
時系列で振り返ると①新支部(備北支部)の設立(6月30日)、②青年経営者全国交流会の開催(9月14日~15日)、③会員3,000名の達成(9月30日)、④・⑤創立50周年式典の開催・創立50周年記念誌の発刊(10月6日)となりますが、計画通り遂行・実施できたことを嬉しく思うと同時にこれら5つの行事は全てこれからの広島同友会にとって大きな勢い、力になると確信しています。
これら5つの行事に関わって頂いた会員諸氏並びに事務局の皆さんに感謝の意を表します。

勝矢:7つの目標、どれもが各担当者により予定以上にできたのではないかと思います。一人ではできないことをそれぞれのチームが責任感を持って協力しあったことが成功の大きな要因だと思います。
備北支部設立に参加して、皆さんの希望を感じさせる笑顔を見て、何とも言えない幸せを感じました。青全交は目標人数2000名と聞いて、心の中で正直難しいと思いましたが、実行委員長の人間性と県理事や周りの人の協力できたと思います。3000名会員達成はひとえに道垣内委員長のリーダーシップによるものではないでしょうか。記念誌はこれからの広島同友会の大切な資料となる立派なものになったと思います。50周年設立パーティーは、ただのパーティーではなく内容のある格調高いものでした。

立石:昨年、10月6日を目指して7つの取り組みを決め実現してきました。その中でも私の長年の願いでもあった備北支部が設立できたこと、青全交が過去最高の参加者で成功し、また3,000名を超える会勢で迎えることができたことは大きな新たな1歩を踏み出したと思っています。これも広島同友会各支部会員のすごさだと感じました。
このことは広島県の中小企業の存在意義を地域に示すことができたことは間違いありません。
今年からは地域からあてにされている会で有る事を会員一人一人が自覚し、さらに良い会社づくりに取り組む必要があると思います。

■2024年の経済状況をどう見るか

原田:2024年度の経済について、全体・業界の見通しはいかがでしょうか。あるいは、会員企業が気をつけなければならないポイントは何だとお考えでしょうか。

勝矢:戦争や紛争、円安が影響して、明るい未来が見えない状況です。和服の業界も非常に厳しく縮小の一途をたどっています。民族衣装でありながら、伝統工芸品になってしまうのではないかという危惧があります。数が減っても海外縫製がほとんどで、国内縫製は減少しています。他面、業界で人を育てていないため、国内受注が増えても縫製できる人が不足しています。

粟屋:全体の見通しは「不透明」と言わざるをえません。円安並びに電気代やガソリン代などのエネルギー代がこの先どうなるか先が見えないことと、世界情勢が不安定であることがその理由ですが、今後は原価UP分と人件費UP分を価格転嫁出来るかどうかが我々中小企業にとって死活問題になると思います。併せて今年は特に内需の動向に大きく影響を受けることになると思います。景気対策で設備投資は大きく落ち込むことはないと予想しますが、個人消費がどうなるかが問題だからです。我社は空調設備・冷凍冷蔵設備の設計・施工・メンテナンスを主業とする設備業ですが、業界の見通しは、ほぼ昨年並みと見ています。 
最初に述べたように見透しが不透明なだけに、良し悪しのフレ幅が大きいことも予想されるので、我社も含め会員企業が気を付けなければならないポイントは、「自社が様々な変化に対応出来ているか、どう対応していくのか」を常にチェック・確認し、決めた目標に向けて社員一人一人が自分の役割を認識して行動出来るようにすること、だと思います。

立石:昨年ほど平和が脅かされていると感じた年はありませんでした。当然、今の経済は世界と繋がっています。世界情勢に大きく中小企業も影響され今年の経済は明るくないと予測します。業界も人手不足で仕事があってもこなせない状況にあり、全体的には縮小しているのが現状です。 
そんな中、ポイントは魅力ある企業づくりと地域に開かれた企業づくりだと私は思っています。もっと自社の特徴や、やっていることをあらゆる手段で発信していく。それによって社員が仕事に誇りを持ち、地域の子どもたちにも地域企業の魅力を伝えられると思うのです。 
それには経営指針の成文化は欠かせません。社員と方向性を共有して会社の魅力発信を一緒にしていく経営者の行動姿勢が、今こそ求められていると思います。

■2024年の自社の重点取組みポイント

原田:では、そのような状況の中で、皆さんの会社では何を重点にされるご予定でしょうか。

立石:事業承継をして今年で7年目となります。事業内容も大きく変わりつつあります。第4次産業革命の中、時代も大きく変化しています。この変化の時こそ新しい取り組みのチャンスだと考えています。いかに自社の事業領域の中で時代が求めているものにいち早く取り組んで行くかがポイントだと思っています。そのためには、開発力と新規顧客の開拓が大きなカギになると思います。また、多様な人材の確保と定着がそれを実現していくには大事だと思います。

勝矢:我社の課題は、価格決定権がない受注業であることです。ですから価格決定権が持てるようにするため販路拡大に取り組み中です。個人客を増やすために、今月、店舗をオープンしました。アップサイクルに取り組めると良いな、と思っています。また、4月から新規事業(福祉関係)をスタートします。

粟屋:第1に人財の採用・育成です。「社員の成長なしに会社の発展なし」と常々痛感しているので、「営業基盤の拡大」と「技術力の向上・施工体制の強化」に向けて今年も新卒採用と社員教育に全力で取り組みたい。昨年は新卒で大卒2名(営業)、高卒2名(施工部門)の計4名を採用し4月1日に入社予定ですが、今年は設計・施工部門2名(大卒・高卒)の採用に注力します。若者に「この会社で働きたい」と思ってもらえるように「働きがいのある魅力ある企業作り」にも引き続き取り組んでいきます。併せて専門知識・資格の取得やコミュニケーション能力ほか人間力向上などのスキルアップのための研修に会社として出来る限りの投資を行う予定です。 
第2に省エネニーズに応える新システム(新規事業)の拡販に取り組んで行きます。学校の体育館や工場など、高さが高い建物に関して、人の高さ(2m位)までのみを温度制御する新省エネシステム(ZONE空調システム)が消費電力を大幅に削減出来るので、今年から対象顧客に積極的に提案していきます。

 

■これからの50年への展望

原田:50周年の大きなテーマは、50年の成果を踏まえて次の50年を展望しよう、という事でした。新たな50年に向かって、広島同友会が力を入れるべきだと思われる事は何でしょうか。

立石:三つあります。一つは事務局の充実だと思います。同友会の事務局は単なる事務屋ではなく、同友会運動発展させていくパートナーです。事務局内の連携はもちろん、会員との連携、信頼関係をつくることが大事だと思います。会員訪問の時間をつくることが会員の実態の把握につながり、事務局員の成長にもつながると思います。
二つ目は地域や他の団体、学校との連携に力を入れるべきだと思います。そのことによって中小企業の存在感、社会的地位の向上にもつながると思っています。
三つめは、他県同友会との学びの連携が必要だと思っています。コロナでの産物、リモート例会が全国同友会とできることです。これを活かしていくことが広い学びや会員同士の交流も広がると思うのです。

粟屋:同友会理念(①3つの目的②自主・民主・連帯の精神③国民や地域と共に歩む中小企業)に基付き、「同友会のお陰で今の自分がある」、「同友会のお陰で今の会社がある」と会員が本心から思えるような「あらゆる経営課題に対しての学びの場」を提供(出来るだけ会員の手作りで)していくことだと思います。
併せて、これまで通り「自助努力」を前提として強靭な体質の企業作りに取り組む一方で、自助努力だけでは解決できない課題については、我々の声により耳を傾けて頂き、行政施策などにも反映して頂けるよう対企業組織率10%(会員数4,000名)を当面の中・長期目標として、会勢の拡大に力を入れていくことは大きな意味がある事だと思います。

勝矢:事務局と会員が共に協力して一つになるという視点は、とても大事だと思います。特に若い人の成長がカギですね。可能性がいっぱいあるのですから。
青年部の皆さんにも期待しています。年の近い仲間で終わらないために何をするのかが求められると思います。青年部の目的である、次代を担うリーダーになっていただきたい。
女性部の皆さんには、経営者意識をさらに高める努力をしていただきたいですね。
中同協幹事会に出るたびに、広島同友会は全国の中でもかなり力のある県だと感じます。法人化と同時にふさわしい認知度を得られるように取り組むことも大事になると思います。

原田:大きな時代の転換期で、企業も変化を求められています。同友会が大事にしてきたものを堅持しながら、変化への対応に力をあわせて、人材の確保と育成や事業革新を進められるような同友会にしていきたいですね。今日はありがとうございました。

記:事務局 橋本