会員紹介 (株)ひなた 代表取締役 小田 康博 氏 (中③④地区会)
「ひなた」という社名の通り、福祉の未来を明るく拓くパイオニアをご紹介致します。
2012年6月、次亜塩素酸水の代理店として創業。
コロナ禍を経て「次亜塩素酸」の名前は広く認知されるようになりましたが、当時、知名度はなく、マーケットすら全くない状況だったとか。しかしその安全性と高い殺菌力に惚れ込み、3年程で西日本マーケットを作り上げました。
この「次亜塩素酸水」は、よく聞く「次亜塩素酸ナトリウム」とは別物とのこと。次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ナトリウムの8倍の除菌力、80倍の除菌スピードがあるそうです。例えばインフルエンザウイルスに対して「次亜塩素酸ナトリウム」は5分で不活化(感染力がなくなる)するのに対して、「次亜塩素酸水」は、触れたと同時に不活化するそうです。
次亜塩素酸水は人工的に作られたものですが、人のカラダの中に存在する好中球(白血球の一種)が細菌やウイルスからカラダを守る際に、体内で発生させる成分だそうです。だからこそ、強力な除菌力や消臭力があるのに、人体や動物に対して高い安全性を確保できるそうです。しかも無香性、無添加のうえ、除菌後は水に戻るので、人体に対して全く無害とのこと。
こうして次亜塩素酸水を皮切りに、マスク、ペーパータオルなどの衛生消耗品を販売してきた小田氏。2015年、高齢者向けの在宅医療サービスをスタートさせます。
発端は、自身の祖父母に在宅医療サービスを提供したいという思い。「社員が家族に提供できるサービスでありたい」と、看護師または理学療法士を採用し、安心と高品質なサービスを備えた事業所を庚午に発足。現在は、高須に移転。2020年には、2つ目の事業所を広島市中区光南に構えました。
2019年4月には「自閉症の息子が通えるデイサービスを作りたい」との思いから、発達障害の子供たちのためのデイサービスを観音新町にてスタート。事業所は理学療法士、作業療法士、精神保健福祉士、認定心理士などのセラピストや養護学校教諭、保育士で構成され、0歳から16歳までを受け入れています。
特徴的なのは「送迎を行わない」点。これは子供たちに最適なサービスを行うため、送迎に使う時間を、事業所内のカンファレンスに振り向け、支援チーム内の情報共有を密にしようと決断したのだとか。これは業界としては考えられないような選択ですが、質の高いサービスが口コミで広まり、何年も通所を待っているご家族が大勢おられるとか。
しかし高品質できめ細かいサービスを提供し続けるため、敢えて事業所の増設をされていません。
2023年には、福祉用具を取り扱う事業所をスタート。現在は全員が理学療法士であり、福祉用具専門相談員の資格を所持。だから時間と共に変化してゆくご利用者さんの状態に合わせて、必要な福祉用具をご提案することが可能なのです。
車いす、ベッド、杖などのレンタルから住宅改修まで請け負われています。
順調に事業を拡大している小田さんですが、ここまでの道のりは必ずしも平坦なものではありませんでした。
特に創業当初は、医療、介護、福祉だけでなく飲食店、コンビニなど、売り込みに行けるところは手あたり次第営業したものの、思うような成果を上げることが出来なかったとか。
そこでターゲットを医療、福祉、介護に絞り込み、ようやく顧客を伸ばすことが出来たそうです。
元々、働くことが大好きで、学生時代は学業よりもバイトの日々。大きな食品倉庫でフォークリストを動かしておられました。当時の納品トラックの運転手さんの言葉が、今もご自身の原動力だそうです。
「なんでお前はわしらにちゃんと自分から挨拶してくれるんや」
学生である年下の自分が、年配者に挨拶するのは当たり前。なぜ挨拶する自分を喜んでくれのだろうか?と不思議に思っていたそうです。
「自分らはそんなに偉うない。お前たちの方が客で、わしらの方が立場も下じゃ。お前はそのわしらに自分から挨拶してくれる。わしらと向き合ってくれる。お前はほかのやつと違う。将来、成功するで。」そう言って可愛がってくださったそうです。
この経験は就職後の営業にも生かされ、現在、社内の行動指針としても「自分から気持ちよく挨拶をする」ことを定めておられるそうです。当たり前のことを継続する。小田さんは今もこのことを大切にしておられます。
現在の課題は、社員教育。特に役職者の教育に力を入れているそうです。
重視しているのは「責任力」であり、「絶対に何とかする」という思いをもって社員に寄り添えるかどうか。そのため、自分の意見を押し付けない「伝え方」を学んでもらっているのだそうです。
社員の離職を防ぐためには「困りごと」に気づくことが大切です。これは役職者が社員に関わる量、質、適正なマネジメントに比例します。ですから役職者の登用の際は、特に適性をよくよく見極めるそうです。
そのうえで、経営者によるオリエンテーション、役職研修、現場研修、外部講師による研修を設けているそう。さらに本社総務の方々が定期的に各拠点へ出向いたり、事業所事務員と連携し、役職者や現場の困りごとを確認し、必要に応じてサポートしているそうです
作りたいのは、働く人が「ここで働いて良かった」と思える会社。
笑顔でそう言い切る小田氏は、顧客と社員に寄り添い、質の高いサービス提供にいそしむ福祉業界のパイオニアでした。
サラリーマン時代は、趣味の車や格闘技のために、自分のお金も時間も全力で費やしていたという小田氏。「あの頃は自分のことばかりだった」と恥ずかしそうに話してくださった小田氏。今では、誰かの力になることがご自身の喜びだと語ってくださいました。
お話を通して、事業の変遷とともに、一人の人のドラマティックなほどの変化を拝聴させて頂きました。
医療、福祉、介護の分野で事業者をお探しの方。ぜひ、(株)ひなたへご相談してみてはいかがでしょうか。きっと親身にご提案くださいます。
記:ひとつ麦 吉原幸子