「幸子の部屋」〜きもので自社の未来を語る〜 Vol.4 (株)フリーク 代表取締役 木村 由実 氏 (中②地区会)
皆さん、こんにちは。ひとつ麦の吉原幸子です。
ゲストの方に、お着物を着用してもらってお話を聞く「幸子の部屋」へようこそ!
今回のお客様は、インテリアコーディネーターとしてカーテンの販売を手掛ける、(株)フリークの木村由実さん(中支部②地区)。「顧客の未来を拓くカーテン屋」の物語にご注目ください。
【本日のお召し物】
木村: 薄紫に葡萄の柄の小紋に、幾何学模様の帯、洋風な帯揚げを合わせて、少し遊んだコーディネートにしました。敢えてイヤリングもつけたまま。自由に着物をお楽しみ頂きました。
吉原: 大島紬の着物に、赤い織りの帯。ラベンダーグレーの帯揚げに、緑が買った青い帯締めを締めています。写真ではわかりませんが、帯締めの先が玉になっている可愛い帯締めです。
【本日の撮影場所】
廿日市市宮島町 「宮島きもの時間」にて
吉原:はじめに今のお仕事を始められたきっかけを教えてください
木村:父の会社に入ったのが、きっかけです。
大学卒1年目の9月11日。父の会社の従業員10人全員が、一斉に退社しました。父に「手伝ってほしい」と言われ、「大変なことになったから」と手伝い始めたのが、きっかけです。
吉原:それはかなりの大事件でしたね
木村:私はエリザベト音楽大学でバイオリンをやっていたんです。父の仕事を継ぐつもりは全くありませんでした。
吉原:進もうとしておられた道は、お父様のお仕事とは、全く畑違いだったんですね。かなりご苦労されたのではありませんか?
木村:社員の全てが入れ替わったことで、新体制となりました。一からスタートの私にとっては、かえってやりやすい部分もありました。ベテランのインテリアコーディネータが入って来てくれたおかげで、ずいぶんたくさんのことを学ぶことが出来ました。
資格も取得出来た頃には、お仕事が楽しくなっていました。
吉原:お父様も喜ばれたことでしょう。そして事業を引き継ぐことになれらたのですか?
木村:いいえ、父の会社で13年働いた後に、独立して妹と共に(株)フリークを設立しました。
吉原:それはまたどうしてでしょうか?
木村:事情があって、残念ながら父の会社を事業承継することは出来ませんでした。
また私自身も、音楽とは畑違いの事業に携わり続けることについて、葛藤してたんです。
だからインテリアコーディネーターとしては経験を積んだものの、どうしても経営者になる覚悟が出来なかった。経営者になることに、抵抗がありました。
吉原:それは辛いところを通られましたね。
木村:それでもやっぱり、父の会社をこのまま終わらせるのは忍びなくて。何かの形で残したいと思い、覚悟を決めて、2014年に(株)フリークを設立しました。そして父の仕事も一部引き継ぎ、今に至ります。
吉原:お父様を、心から大切に思われていたんですね。
木村:本当は「いつか旦那が引き継いでやってくれたらいいな」って、思ってたんですけどね(笑)今年の10月で、設立から丸10年を迎えることになります。
吉原:大きな節目ですね。今、どんなお気持ちで、お仕事に取り組んでおられますか?
木村:女性の感性が通じる世界だと感じています。確かに、女性ゆえにやりにくい場面もあります。けれど現場で1回認めてもらえたら、次からは業者さんとも断然話しやすくなります。
またご夫婦からの依頼でも、カーテンですから、奥様がメインとなってお話しされることが多いです。女性同士なので、打ち解けるのも早いですし、男性よりも奥様のご希望について深くまで汲み取れます。
奥様しかご自宅におられない時間帯に納品に伺っても、警戒されることはありません。女性ゆえに、安心頂けることも多いんです。
吉原:ますます可能性が広がりそうなお話ですね!
木村:はい。BtoBのお仕事が多い世界ですから、業者さんの信頼を得られると、次のお仕事の紹介にも繋がります。おかげで、今、お仕事が増えている状況です。
吉原:今、課題となっていることはありますか?
木村:エンドユーザーにアピールできていないことですね。
実は3年前に、事務所を大手町に移転しました。思いの詰まったショールームも作りました。なのにうまく活用できていないんです。今は、打ち合わせの為だけの場所みたいになってます。
吉原:では、ここからどのように展開していきたいとお考えですか?
木村:ホームページでの集客ですね。実はもう取り組みは始めています。今までのホームページは会社案内みたいだったので。もっとお客様が依頼したくなるような発信がしたいです
吉原:大事なことですね。他に考えておられることはありますか?
木村:まだぼんやりとなんですが…イベントをやってみたいです。このショールームで、音楽と料理を融合させたイベントをやりたいです。そしてそこに、インテリアやカーテンに興味のあるお客様にいらして頂きたいです。
音楽に関心のある方は、インテリアにも関心があるように思うんです。感性として、共通点があると感じます。イベントを通してうちを知っていただき、ゆくゆくは「カーテンを頼むなら(株)フリーク」となったら、嬉しいです
吉原:素敵な計画ですね!私もそのイベントに是非ご招待ください。
今後の事業展開について、ビジョンを伺えますか?
木村:デザインから提案することが出来るよう、社内にチームが欲しいと考えています。
現在は家族だけで、少人数でやっています。工事は全て、信頼できる業者にお願いしています。けれど社内で、デザインから施工提案まで出来るようなチームを持ちたいと願っています。
うちはコーディネートがメインです。これを売りにしたリフォームを手掛けてみたいと思っています
吉原:これは新しい発想ですね。インテリアコーディネーターによるリフォーム提案なんて、素敵なお部屋になるに違いありません!
とってもワクワクするお話ですが、実現へむけて、ハードルがあれば教えてください。
木村:PR力が弱いことです。私はもうひとつ欲がないところがあって…
「私、こんなことできます!私にお仕事ください!」というふうに、自分をアピールするのが苦手です。
人と接するのは好きだし、喜んで頂くことも好きです。人から信頼して頂きやすい方だとも思います。けれど「自分を売り込む」のが苦手なんです。
吉原:私発信が苦手なのですね。
ですがお仕事の上で、いつも提案をされてますよね?
木村:はい、提案については、はっきりと言うことが出来ます。
吉原:木村さんは、共感力があり、お客様が言葉にできないところまで汲み取りながら、お客様の理想の暮らしを現実のものにしておられます。
これは、形のない未来を形造るお仕事ではありませんか?
これから始まる新しい未来を応援するというお仕事ではありませんか?
お客様の幸せに貢献するためだったら、ご自身のお仕事の内容や、出来うることをお伝えすることは、そこまで苦痛なことではなかったりしませんか?
木村:そうですね。それなら出来る気がします!
吉原:木村さんにしかご提示できない「お客様の幸せ」があると思います。ぜひ、それを多くの方々にお伝えください。
ところで、ひとつ、お願いがあります。
木村:なんでしょう?
吉原:今、私は宮島と広島の二拠点を、行ったり来たりしてます。宮島に滞在する時間が、長くなってきています。そうなると①仕事に集中できる②自分のペースで気兼ねなく時間を使える、という理由で、宮島に一人でいることを「楽」と感じてしまうんです。そして夫の待つ広島に帰るの「めんどう」に思う自分がいたりするんです。これはまずいことです。旦那が嫌いなわけでも、別れたいわけでもないのに、このままだと夫婦間に亀裂が生じそうで怖いんです。私が自宅に帰りたくなるようなカーテン、ありますか?
木村:もちろんです!ご用意させて頂きます!
吉原:木村さん、頼もしいです!!ぜひ、我が家の幸せのために、帰宅したくなるカーテンをお願いしますね!きょうは本当にありがとうございました。またお話を聞かせてください。
今回は、「顧客の未来を拓くカーテン屋」(株)フリークの木村由美さんにお話を伺いました。
次はあなたをご訪問するかもしれません。
是非お着物で、事業の来し方行く末をお聞かせください。
それではどうぞ、ごきげんよう。
記:ひとつ麦 吉原幸子