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2024.02.21

役員研修大学 第5講 「採用と共育で強靭な会社づくり」

報告者:中同協 共同求人委員長  川中英章 氏(㈱EVENTOS 代表取締役 広島)

(株)EVENTOSは1988年創業した、飲食店の運営・仕出し、食を通した地域活性化業を行う会社です。現在社員52名、平均年齢31歳。新卒社員の比率は71%です。求人活動は同友会の共同求人のみを活用しています。
創業後、赤字が続き債務超過に陥り、97年には大量離職が発生。結婚式の下請けにしがみつきV字回復を遂げます。そのころ同友会の案内を受け、2004年に入会。2007年頃には毎月の支払いに困ることはなくなる一方、これからどんな会社にしたいのか、悩みを抱えていました。

■仕事に誇りを持って働く

 企業変革支援プログラムver.2の中に、10年ビジョンの策定という項目があります。弊社では2008年に10年ビジョンポスターを作成しました。『食の安心、安全』を掲げ、持続可能な地域づくりなどをポスターに盛り込みました。ですが、その後新卒の社員さんは全員離職してしまいます。
 折角ポスターを作成したのだから、とにかく活動してみようと、農業の団体に対し2年間、徹底的にボランティアをしました。その活動は農業団体のみならず、地域の人々に歓迎されました。その様子を見て私たちは、食を通した農村活性化事業を創りたいと思うようになりました。それから2年後、畑の中に造ったレストランは大繁盛。現在では飲食事業者・夫婦の移住希望が増加しています。地元の学校に少しずつ子どもが増える現象が起こりつつあります。
 この当時、まだ社員教育体制が十分に整っていませんでしたが、離職率は急激に低下。やはり、仕事への誇りが重要なのだと実感しました。

■共同求人は自社の変革を加速する

我々は最初に作った10年ビジョンを2016年に達成し、現在は2018年からの第2次10年ビジョンを実行中です。今回のテーマは「人生を過ごす価値のある会社になろう」で、社会に必要とされる会社になることをめざしています。

しかし、コロナ禍、売り上げは大幅に減少。社員たちは倒産を心配していました。社内研修で仕事が無くなってしまった場合、約2年後に倒産することを共有しました。社員たちは「2年も会社が持つなら、何かしましょう」と団結。できることから始めることにしました。その一環として、地域の資源を生かした地方観光地の再生事業を始めます。この再生事業は2020年、『地域未来牽引企業』に選定いただきました。これからも地域と共に歩んでいきます。

現在は、有福温泉(島根県)の再生事業活動を推進しています。レストランを作り、泊食分離を採用したことで周囲の宿屋が再生されつつあります。中小企業サミット(中同協主催、東京都内開催のインターンシップイベント)では、関東から来たインターンシップ生が有福温泉に移住し、約20年ぶりの新卒採用になる実績が出ました。非常に喜ばれています。

■地域でキラリと光る会社になろう

私たちが目指しているのは、やりがいがある会社、未来に希望が持てる故郷づくりです。どんなに賃金や休みがあっても、やりがいがなければ意味がありません。今年よりも来年の方がもっと幸せになるという希望が持てる会社づくり、故郷づくりをしなければ、若い人は入ってこないと考えています。

中小企業経営者から、現在の採用難に対して嘆く声をききます。若者は企業の規模ではなく、未来を感じる企業に引き寄せられます。未来を見据えることで、社員の定着が可能になると考えています。

私たちが行う全ての仕事には誇りとやりがいがあります。地域によって生活や幸せの形が異なるため、中小企業の求人活動では、自社の仕事内容だけでなく、地域の魅力も伝えることも重要だと思います。

採用活動は自社の夢を発信することであり、採用が成功するとは、夢を共有するパートナーを得ることだと考えています。

■共同求人は経営指針の総合実践です

2007年から共同求人を行い、毎年少なくとも1~2人を常に採用しています。共同求人活動により学校や地域から信用を得て、安定した採用が可能になっています。

共同求人は夢を語り夢の実現に向けて活動する場です。学校との繋がりを維持し、自社の魅力を発信し続けることが大事なのだと考えています。

(記:事務局 橋詰)