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2024.05.21

役員研修大学2023 第9講 要旨「人間尊重の経営の実践~最終講~」報告者:広島同友会 代表理事  粟屋 充博 氏(旭調温工業(株) 代表取締役)

開催日時:
2024/03/28(木)
会場:
Zoom
人数:
17名
報告者:
広島同友会 代表理事  粟屋 充博 氏(旭調温工業(株) 代表取締役)
文責者:
事務局 中野

 私は28歳の時に同友会へ入会しました。ですが、入会後の2年間は全く例会へ参加していませんでした。当時の地区会長の方から例会へお誘いいただき、初めて地区例会へ参加しました。例会に温かみを感じ、それからは毎月例会へ参加するようになりました。
地区例会での一番の思い出は、後継者としての悩みなどを報告させていただいた時です。私の報告を聞いた、先輩経営者の方から「なぜ後継者が、貴方でなければいけないのか?」と、厳しい質問をされました。その質問に、私はその場で答えることができませんでした。1週間ほど考え、私は自分なりの回答を出しました。すると、それを聞いた先輩経営者の方は、ニコッと笑い「それなら大丈夫」と言ってくださいました。

私がまだ営業をしていた頃、会社の将来を考え、私と共に頑張ってくれる社員を育てなければいけないと思いました。そこで、同友会の共同求人活動に参加し、新卒採用と社員教育を進めました。そして同時に、私自身のネットワークの拡大も進めました.
そんなある日、何の前触れもなく、父親から突如社長交代を告げられました。父親も腹を決めたのだと思い、即決しました。その時、社長就任を即決することができたのは、以前、先輩経営者の方に問われたことに対する答えが自分の中にあったからだと思います。
社長に就任し、①経営理念・経営計画の作成・共有、②ISO9001の取得、③自社の強みを磨く、④営業基盤・事業規模の拡大に取り組み、業績も順調に伸びていました。

しかし、2008年にリーマンショックが起こり、その影響で売上げが3分の2になりました。これは、今までに経験したことのない出来事でした。その時、改めて労使見解を読み直しました。そして、自社に落とし込めていなかったことを猛反省しました。特に、「明確な指針作り」「高い士気のもとに労働者の自発性が発揮される状態」が我が社にあるのか、考えさせられました。
明確な指針づくりのため、社員全員に目標・行動計画を作成してもらい、それに伴う人事評価制度の見直しを行いました。また、高い士気のもと労働者の自発性が発揮される状態を作るため、自己実現のできる会社をめざしました。自己実現とは、やりたいことができ、安心してご飯が食べられ、周りから評価される状態だと私は考えています。  私は、人件費はコストではなく投資だと思っています。そのため、自己実現するための資格取得や研修への支援は最大限行うようにしています。また、新入社員においても入社時からの教育計画をしっかり作っています。

■社員との信頼関係を構築するためには

労使見解は悩んだときに読むと、とても役に立ちます。1975年に発表された労使見解は、現代でも通ずる先見性と普遍性があります。先見性と普遍性があるということは、100年先に読んでも、心の支えとなり、経営者としての在り方を示してくれます。  また、社員との信頼関係を構築するためには、お互いに疑心暗鬼にならないことが大切です。すれ違いや思いが伝わっていない時には、きちんと向き合わなければいけません。そのため私は、自分に間違っている部分があった時、それを指摘された時には、素直に謝罪とお礼を社員にしています。
社員と思いを共有し、同じところをめざさなければ、良い会社にはできないと思っています。これからも皆さんと共に頑張っていきたいと思います。