「SDGsを使って経営指針の実践を進めよう」第1回テーマ:「SDGsとは何か~リスクとチャンスを理解して、SDGsをビジネスに活かす!」
- 開催日時:
- 2024/06/20(木)
- 会場:
- 本部事務所&Zoom
- 人数:
- 54名
- 報告者:
- 講師:(株)ふるサポ 代表取締役 中島 達朗 氏
- 文責者:
- 事務局 橋詰
講師:(株)ふるサポ 代表取締役 中島 達朗 氏
■SDGsとは100年・200年企業をめざすこと
現在、世界は「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる、変化が予測しにくい時代に入っています。この時代において、SDGs(※「持続可能な開発目標」と訳される。2015年の国連総会にて全会一致で採択された国際目標)が経営の指針となるべきだと考える経営者が増えています。SDGsとは「100年企業、200年企業をめざすこと」であると考えています。めざすにあたって、ポイントが3つあります。1つ目は、過去に成功した方々から学ぶ謙虚さ。2つ目は、時代の先を読む力。そして3つ目に、魅力ある事業を作り、後継者に選ばれることです。
SDGsの考えは全く新しいものではありません。同友会の、人間の尊重を経営の中心に置き、地域社会の発展に貢献するという考えは、SDGsと共通する考えです。SDGsは過去から続いてきた多くの活動が基盤となっていることを理解していただきたいです。
SDGsを学ぶと、まず「誰一人取り残さない」という誓いが2030アジェンダ(※SDGsを含む行動指針)の前文に記されていることがわかります。例えばSDGsには、日本も大きく関わった目標があります。「仙台防災枠組み」と呼ばれ、東日本大震災を踏まえて策定されたものです。この枠組みではBCPの策定を求めており、特に若者や女性の視点を取り入れることが強調されています。例えば、女性の生理用品の備蓄があるかを問うたとき、おそらく多くの経営者は、これまで考慮していなかったと答えるでしょう。
■企業活動における人権尊重の取り組みへの注目
近年、人権デュー・ディリジェンスという言葉が注目されています。日本では「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が発表されるなど、企業に人権尊重を求める動きが国際的に加速しています。
2020年の4月からはパワハラ規制法が中小企業にも適用されています。訴えられるリスクを避け、生産性とモチベーションを向上させるためには、健康経営の取り組みが非常に重要だと言われています。健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実施することです。就職や転職を考える若者たちは、企業の健康に関する取り組みを評価する傾向にあります。広島県も積極的に支援していますので、県のウェブサイトをご覧いただき、様々な支援策をご利用いただければと思います。
■「誰一人取り残さない」という決意を持つ
SDGsは、現在の仕事や経営に活かせるツールとしての側面も持っています。若い人は授業でSDGsについて学んでおり、環境問題などを含む社会課題解決に大きな関心をもち、就職活動・消費活動において企業に求める項目の一つになっています。
重要なポイントは、経営者が「誰一人取り残さない」という決意を持ち、全ての社員と方針を共有することが重要です。そのためには、企業がめざすべき姿を明確にすることが不可欠です。
現在、このような流れを受けて、本業を通じた社会貢献やイノベーションとパートナーシップが広がっています。例えば、カーボンニュートラル、空き家問題など各業界にはそれぞれの社会課題や地域課題があります。それらを解決できる製品やサービスを開発すること、または隣接業界と協力して解決策を見つけることが活動につながります。会員同士で地域の社会課題を解決できるようなパートナーシップやイノベーションを生み出していくことも、今後の展望として考えていただければと思います。
■SDGsの進め方
SDGsの進め方について簡単にまとめたいと思います。まずは、各業務との紐付けから始めます。その後、SDGs宣言を行い、ワークショップ等で目標設定を進めていくことになります。自治体への登録(※広島県では東広島市のみ実施)がお勧めです。また、現在の自社の状況が分からないという方に向けた診断サービスもありますのでぜひご利用ください。
SDGsを進めることで、10年先のお客様の行動を予測し、さらに、SDGsの視点で新商品や新サービスの開発を進めてことができます。採用活動においてもツールとして活用し、銀行業界との関係強化にも役立てていただければと思います。