「中小企業憲章」閣議決定14周年記念行事「地域で若者を育て地域に若者が残る(戻る)活動~共育型インターンシップで地域を担う若者を育む~」
6月27日に「中小企業憲章」閣議決定14周年記念行事が開催されました。今年は香川県中小企業家同友会の「地域で若者を育て地域に若者が戻る(残る)活動」として取り組んでいる、新しい形のインターンシップ「インタビューシップ」についてご報告をいただきました。
■香川県の実状と課題
みなさんはどのくらい地域に関心・興味がありますか。香川県は、8市5郡9町の自治体があり、振興条例制定は進んできています。県内の条例制定人口比率は93.07%になり、条例制定運動から、条例の理念をもとに活用・実践する段階になりました。しかし条例制定によって「地域が良くなっている」と実感ができていません。
香川県の一番の大きな課題は、人口減少です。1999年の103万人をピークに2040年には81万人にまで減少、その後も減少が加速すると予測されています。
県内の高校卒業生8437人のうち、進学者は4840人います。そのうち約80%は県外に進学します。就職者1347人のうち13.2%は県外就職をします。県内で育った多くの子どもたちは県外へ出てしまっています。子どもたちが香川で自分らしく生きる希望を持つことができるような、地域づくりが必要だと感じました。
■共育型インターンシップとは
高校生が対象の共育型インターンシップは、日本を変えることができる希望ある取り組みだと確信しています。通常のインターンシップは、単位や採用を目的としています。企業側は優秀な人材を確保したい、学生側は良いところへ入社したいという思いで行われています。
共育型インターンシップは、「地域で若者を育て地域に若者が戻る(残る)活動」として2019年度より香川県立三木高等学校と連携し、高等学校では全国発となる新しい形のインターンシップ「インタビューシップ」です。インタビューシップとは香川県立三木高校が付けた名称です。生徒が経営者や社員にインタビューを行うため、インタビューシップと呼ばれています。総称を共育型インターンシップとしています。
「インタビューシップ」は、生徒1人が1社に出向き、会員企業の経営理念やそこで働く大人(経営者・社員)の夢や希望、地域活性の想いをインタビューすることを通じて、「働く意味」を学びます。受け入れる企業は必ず経営理念を掲げる必要があります。そして生徒の視点から学んだことをまとめて、後日成果発表会をしてもらいます。キャリア教育を目的としているため「何のために働くのか」を考えます。作業だけをしてもらう職業体験ではありません。掃除などの作業1つ1つにおいても、誰のために何のためにするのかを伝えています。
香川同友会は、山形大学と山形同友会で取り組まれていた低学年対象のインターンシップの取り組み事例を学び、香川県内に取り入れました。現在では県内5つの高校とうち3校と包括連携協定を結んでいます。
企業が共育型インターンシップに取り組む目的は「何のために経営をしているのか」を再度自覚するためです。日々目の前の仕事に追われていると忘れてしまいがちになります。毎年受け入れを行うことで再確認するきっかけになります。
そして生徒に自社の魅力を伝えるため、経営理念や自社の取り組みについて見つめ直すことを目的としています。働く目的や地域における役割について、改めて考える場になるので社員教育につながります。また受け入れをすることで、香川にある魅力ある中小企業を家庭や学校に知ってもらうきっかけも目的としています。
生徒は共育型インターンシップに参加することで必ず主体的に行動します。1社1名の受け入れで、他の生徒に頼ることができないため、生徒の成長に大きな変化があります。そして学校や家で関わる大人以外の人と関わることで生徒自身が学ぶ機会や幅が大きく広げてもらうことを目的としています。働くことをネガティブに考えている生徒が多い中で、これらを経験することで働くことへの意識の変化が必ず起きています。
高校生が対象の共育型インターンシップは、日本を変えることができる希望ある取り組みだと確信しています。通常のインターンシップは、単位や採用を目的としています。企業側は優秀な人材を確保したい、学生側は良いところへ入社したいという思いで行われています。
共育型インターンシップは、「地域で若者を育て地域に若者が戻る(残る)活動」として2019年度より香川県立三木高等学校と連携し、高等学校では全国発となる新しい形のインターンシップ「インタビューシップ」です。
■受け入れ後の変化
企業は生徒を受け入れることで、会社の想いや理念を社員に伝えるきっかけになり、コミュニケーションの場が生まれました。高校1年生に経営理念を伝えるために、しっかりとかみ砕き、分かりやすく伝える必要がありました。そのため、社員は自身の言葉で説明できるまで理念を理解するので、改めて共感してくれました。マネージャーは、「理念を伝えることは一生懸命していたけれど、社員にちゃんと伝わったのか確認していなかった」と話しており、生徒を受け入れ、成果発表を聞くことでさらに実感できたそうです。そして社員は「若者の未来に貢献できた気がします」と話してくれて、仕事の中で「これは何のために」と考えるようになったとのことでした。受け入れを通して、自社も社員にも大きな変化がありました。
学校の先生方からも、取り組みについて評価をいただきました。「受け入れる企業は経営指針を掲げているため、人を育てて人を大切にしていくという覚悟があります。香川県内に人の成長に関わりたいと思う企業がこんなにもあることに驚きました。若者に希望を持って地域に残ってもらうためには、職場環境の整備も含めて若者が成長できる企業が増えてほしい。」とエールをいただきました。
生徒にアンケート調査を行いました。「将来香川に残っても・帰っても良いと思うようになりましたか?」という質問に対して、回答者の78.6%が良いと思うと回答いただきました。この取り組みを通して「何のために働くのか」を考え、地域の企業を知るため、将来への選択の幅が広がったと考えます。
またこの運動による変化として三木町の条例制定や教育機関からの期待の高まりを感じています。地域の課題を自社の課題ととらえ取り組んでいることに高い期待を感じていただけました。
■地域の課題を自社の課題に
共育型インターンシップは、若者が地域の中小企業に希望を見出し、地元に残る・帰るきっかけの一つになり、地域に希望を見出だす取り組みだと信じています。
地域の課題は、自社の課題でもあります。自社の課題解決で良い会社になることができます。良い会社にするために経営者が学び成長することで良い経営者になります。自社の課題解決で地域の課題解決につながります。地域の大人たちが地域の子どもたちと関わり続けることで、地域やそこで暮らす大人たちに希望を持ってくれると思います。