「いま、この人、この会社―未来を描く中小企業」ビジョンが生み出す高付加価値な企業づくり
- 開催日時:
- 2024/08/20(火)
- 報告者:
- (有)アドバンス 代表取締役 藤岡 秀行 氏
- 文責者:
- 事務局 中野
8月7日配信の中同協メールマガジンDoyu Newsに掲載された㈲アドバンス 藤岡秀行氏(福山支部 県青年部連絡協議会会長)の経営実践報告を同友ひろしまにも掲載いたします。
■会社紹介
(有)アドバンスは、広島県府中市を中心に高齢者介護事業を行う会社です。藤岡氏は先代である父がアパートの1室で開業した、訪問介護サービス・介護タクシー事業の会社を2020年に引き継ぎました。代表取締役に就任後は、2022年にグループ法人本部を設立し、アドバンスグループとして児童福祉事業・研修事業・人材紹介事業等幅広く事業展開をしていきました。ただ、やみくもに事業を広げているわけではないと藤岡氏は語ります。
■アドバンス・グループVision
アドバンスグループでは「個性が活きる様々なかたちの幸せを創る」という10年ビジョンを掲げています。社会の中には、様々な人が暮らしています。特性を持っていたり、苦手なことがあったり、得意なことや好きなことがあったり。年齢、特性特徴、経験など、人それぞれ持っているものは異なり、幸せのかたちも人の数だけかたちがあります。
さまざまな個性を持ち合わせているアドバンスグループの社員が、実ができる大きな木の下につどい、自分たちの仕事を通して関わってくださる方々全て(利用される方、そのご家族・業者さん・地域の方・共に働く社員等)の「笑顔、幸せ」にするために、働いていきます。また、そのために、個の違いを認め、ポジティブに捉え、チャレンジして自分らしさを発揮したり、仲間への安心感があったり、根底には大切にしている価値観があります。
これらの価値観を大事にしながら、アドバンスグループは、事業展開を考えています。
■ビジョンが作る新事業
この10年ビジョンを発信しているうちに、昨年M&Aの話が舞い込んできました。それは60年近く地元府中市で配食弁当の製造・販売を行う㈱府中家具給食という会社でした。アドバンスグループのめざす姿を明確にすることで、介護事業の会社に弁当事業の話が来るようになったのです。
藤岡氏は、介護事業部に食の仲間が増える、弁当製造が障害者雇用に繋がるという自社事業とのシナジー、無借金だったことを理由にこれを快諾しました。
ただ、無借金ではあるものの会社はボロボロ。アナログな体制で注文は電話・FAXの嵐。棚卸をしていなかったため、利益が分からず食数を追い、お客さんからの要望・値引きにすぐ応じていました。当然そのしわ寄せが製造現場に行き、オペレーションはぐちゃぐちゃ。4種類の弁当を作るため朝2時から出社する社員もおり、人手が足らず疲弊し、粗利も出ず、ボーナスも出せない。そんな会社でした。
■ピンチはチャンス!
この状況を打破するべく、藤岡氏は4種類の弁当を1種類にし、利益を出し社員に還元できるよう値上げを行いました。社員と共に仕組みやオペレーションのやり方を考えることで、時間に余裕が生まれ、新たに生まれた時間で値上げに納得してもらえるよう、質を上げるための考える時間ができました。
また、社員の声を聞きながら、働く環境改善のため、本社工場の全面改装、アナログ業務の改善に取り組みました。社員の働く環境を整えることで、これまで弁当を届けるだけだった社員が、自発的に営業を行うまでになりました。
M&Aを行った後も、たくさんの社員がついてきてくれました。それには、社員の声に耳を傾け、出来る事はすぐに行動する、藤岡氏の経営者としての姿勢がありました。
「まだM&Aしたばかりのため変化の結果が付いてきていない。会社の変化をきちんと社員に結果で示したい」と語る藤岡氏。実ができるその日まで挑戦はこれからも続きます。
(有)アドバンス(アドバンスグループ)
URL:https://advance2003.com/