青全交in宮崎 第1分科会「青年部活動と企業経営は不離一体 役得とは?~役に挑んで見えた成長と変化~」
- 開催日時:
- 2024/09/19(木)~2024/09/20(金)
- 会場:
- シェラトン・グランデ・オーシャン・リゾートホテル
- 報告者:
- (有)テヅカ精機 手塚氏(長野)、(株)ニシカン 岸本氏(広島) (株)KOTOYA 豊田氏(大阪)
- 文責者:
- アイウイングス(株) 相原 一哉
みなさんは、「役得」というものについてどのようなイメージを持っているでしょうか?
頑張ったご褒美と考えるべきか、金に汚いと非難するかはその人の持つ想像力で変わりますが、こと同友会においての意味で表すならば「役得」が自身の会社を成長させる可能性のひとつと定義します。
なぜなら、この分科会のテーマでもある「同友会活動と経営活動は不離一体」が表す通り、同友会の積極的な活動が経営活動にも影響する重要な要素となるのですが、なぜそうなるのかを今回のレポートとしてまとめたいと思います。
第一分科会は、中同協青年部連絡会代表の大役に就任した長野同友会所属の(有)テヅカ精機の手塚さん、その手塚さんをサポートする形で中同協青年部連絡会副代表を務めている広島同友会所属の(株)ニシカンの岸本さんと大阪同友会所属の(株)KOTOYAの豊田さんがパネリストとして報告され、新潟同友会所属の有希化学(株)の本間さんがコーディネーターとして御三方との見事な掛け合いを披露されました。
3名が大役を務めるまでのこれまでの足跡を失敗談と交えてたくさん話を聴くことができたのですが、共通していることは全員が入会当初は全くやる気のない幽霊会員の状態であったことでした。同友会のあるあるとして、入会までのアテンドは慎重かつ丁寧にされるのに、入会が終わるとアテンドが全くされないで雑な扱いを受けて、だんだんと関心がなくなって足が遠のいていく。彼らも例外ではなく、なあなあで参加していたこともあったとか…。
当然、そういう態度で臨んだものですから、肝心の事業活動も停滞が続くようになり、状況を打破したい→同友会で経営のヒントを得る→実践するが社員任せ→成果が出ずやめる→次の例会でまたヒントを貰う→実践するが以下略→成果が以下略→次の以下略、という繰り返しでその度に人のせいにした結果、社員との関係も悪くなる悪循環だったそう。
当時を振り返りながら、パネリストの全員が「あの時は経営を舐めていた」と自戒しており、あれだけの好業績を叩き出す人たちでも、逆境を味わう日々を過ごしていたのかという驚きと共に、自身の現在の状況と重なる部分に妙な親近感を覚え、分科会への興味が一気に湧いたのは記憶に新しいです。
そして、そんな3名の経営の行き詰まりから脱却したキッカケが、同友会活動を通じて自身の甘さと課題を痛感したことでした。
印象に残った2つのエピソードとしてまだ主体性を発揮できていなかった岸本さんは、同友会で役を引き受けるのは同友会活動が好きな人がやればいいと思っていました。しかし、ある社員の「会社が好きな人が会社について考えればいい」という言葉を聞いて自身の言動と重なったことで、自分の考え方が会社にも社員にも伝播することの恐ろしさを感じたそうです。それからは、自身の行動を改めて「できることはどんなことでも」の精神で精力的に活動するようになり、そこから社員の信頼を勝ち取ることに繋がって業績も伸びたそうです。
一方で手塚さんは、それまで社員に対して無関心であり、誰も会社のことを考えていない、自分が一番会社のことを思っていると自負していましたが、ある同友会の先輩会員に「あなたは何のためにこの会社で働いているのか?」という質問になぜか答えられなかったそうです。試しに同じ質問を自社の社員に投げかけたところ、言葉は違うものの全員がそれぞれの目的をもって会社に従事していることがわかり、自身の無知と浅はかさを自覚しました。さらに、その質問を会社の創業者でもある父に聞いてみたところ、起業した町の歴史や地理的背景を踏まえながら大きなビジョンと世界観を持っていることを初めて知り、父の偉大さを知ったそうです。
それからは、心を入れ替えて社員を少しずつ信頼し仕事を任せることで、一人一人が主体性をもって働く会社へと成長し、次々と新事業を成功させ、経済と雇用を生み出す町一番の会社へと成長しました。
このお二人の話は、聞いている中で「ニュートラルに戻る」という言葉がしっくりくるように感じました。それは、決めつけや思い込みで傾いていたマイナス思考から自身の言動が社員にも影響することと、思い込みが見当違いであったことでそこで初めて客観的な視点で自身と会社に向き合うこととなったからです。
2人はそこで同じ轍を踏まずに、主体性と積極性を持つことで意識をプラス思考に切り替えて、見事に会社を成長させました。同友会での地域を越えた交流は、どうしてもためらいがちな部分がありますが、彼らの成功は、そんな人たちにとって最高の教材になるはずです。
このお二人の話は、聞いている中で「ニュートラルに戻る」という言葉がしっくりくるように感じました。それは、決めつけや思い込みで傾いていたマイナス思考から自身の言動が社員にも影響することと、思い込みが見当違いであったことでそこで初めて客観的な視点で自身と会社に向き合うこととなったからです。
2人はそこで同じ轍を踏まずに、主体性と積極性を持つことで意識をプラス思考に切り替えて、見事に会社を成長させました。同友会での地域を越えた交流は、どうしてもためらいがちな部分がありますが、彼らの成功は、そんな人たちにとって最高の教材になるはずです。
そして、編集長の私がこの分科会を通じて学んだことは、自身の成長のために行動することは、巡り巡って会社も成長させることができる、ということです。積極的な同友会活動で自身を成長さることで本人の行動と説得力が身に付いて信用力が生まれ、それが巡り巡って会社でも良い効果に繋がり成長するということが、彼ら3人の有り方からそれがヒシヒシと感じました。
さらに、その学びを強く感じたのは、当日のある出来事が私にその学びを与えてくれたと思っています。それは、同じ青年部の先輩会員の方と宮崎に到着したものの、会場が別々であったためやむなくタクシーに乗ろうと宮崎駅のタクシー乗り場で待っていたところ、ちょうど自分の前に並んでいた人から「同友会の人なら一緒に行きましょう」という誘いを受けてタクシーに同乗した時のことです。
車内で名刺交換をして話を聞いたところ、福岡の同友会に所属している方で、過去には福岡県の支部長を務められており、現在も相談役として同友会に携わっておられる方です。会社は保険の代理店業務を経営されており、現在は代表を部下に継承して会社でも相談役に回っているのだとか。
その方は、営業の人材をせっかく育ててもすぐに独立退社されてしまい、会社の利益に繋がらない現状を同業者に相談したところ、その人の紹介で同友会に入会し、経営理念と経営指針の勉強を始めたそうです。例会などで勉強する一方で同友会活動も懸命に活動していたところ、県外交流行事で一緒に運営をしていた方が、石川県で経営指針の勉強会の講師をされていた人だと知り、その人の誘いを受けて週1回の半年間を金沢まで通い講習を受けることが出来たそうです。もちろん、ハードなスケジュールで内容も細かい指摘をたくさん受けて泣きそうになりながら乗り越えたとしみじみとした表情で語っておられました。
経営指針を学びながら、社員と相談して一つ一つ理念と指針を作り上げていき、完成したことで、会社の理念に共感して会社に残って働き続けてくれる方が増えて、見事に事業継承することが出来たそうです。
そんな出会いから上記の報告を聞いた時、私は経営の課題や問題の解決のヒントを求めている時に、同友会の活動を積極的に参加することで自分の求める答えを持っている人に出会えることが、この不離一体の一つの答えなのではないのだろうかと感じました。
ひょんな出会いから何かが生まれるように、思わぬ形で成功に近づけることは、この同友会の魅力でもありますので、私自身もこれから今以上に同友会に精力的に参加してたくさんの出会いとチャンスを掴みたいと思いました。
やはり青全交というものは参加してみることからナニかが始まりますので、参加したことのない方は分科会だけでも参加して、自身の経営の悩みを初めて出会う他県の会員さんと交流してみてはいかがでしょうか?