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2024.11.21

「広島同友会の政策活動の歴史」広島エリア政策委員会報告骨子

開催日時:
2024/10/09(水)
会場:
ひと・まちプラザ
人数:
12名
報告者:
広島県中小企業家同友会 顧問 国広 昌伸 氏
文責者:
事務局 橋本

報告者:広島県中小企業家同友会 顧問 国広 昌伸 氏

■中小企業問題とは何か

中小企業問題とは何でしょうか。中小企業になにか問題があるということでしょうか。
菅内閣の時代に、日本の中小企業の生産性の低さ、小規模であることが、経済発展を阻害しているという論議がありました。しかし欧米を見ると、小規模企業は人口比にするともっと多いのです。つまり、小規模企業が多いことが問題なのではありません。
むしろ、中小企業が十分にその力を発揮できない社会状況や経済慣行がある。それを中小企業問題と呼ぶのです。政策委員会の活動は、この中小企業問題を解決するためのもので、会の目的の3番目「良い経営環境をつくろう」を実践するものです。

■金融問題が活動を明確化した 

私は昭和51年から48年間、同友会にお世話になりましたが、実は最初の20年くらいは、この政策問題がよくわかりませんでした。市などに政策提言などはしていたのですが、本当にそれが中小企業経営者の方の願いなのか、実感がわかないままだったのです。
実感と手ごたえを持ったのは、1997年に始まった金融危機からです。都銀や証券会社が倒産するという異常事態の中、BIS規制や金融検査マニュアルなどが導入され、会員の中にも「貸し渋り」や「貸しはがし」にあう企業がでるなど、中小企業金融は大変厳しい状況におかれました。
そこで、アンケートなどを行い、実態把握につとめ、それを会員さんに発信したのです。
あわせて「金融アセスメント法」制定を求める署名運動を展開、全国で100万筆を集め、国会に提出しました。残念ながら法案は通りませんでしたが、リレーションシップバンキングや金融検査マニュアル中小企業版などの形で結実しました。

■一貫して金融と税の問題に焦点をあてる

思い起こせば、一貫して「税」と「金融」の問題が政策委員会のテーマだったと思います。
「税」に関しては、国は一貫して「応益負担(サービスを受けた量に応じての負担)」の考え方で、広く薄く徴税を広げてきましたが、同友会は「応能負担(能力に応じた負担)」での徴税を求め、ときには反対署名活動も行ってきました。
「金融」に関しては、中小企業にとって不利な金融慣行の是正に取り組んできました。第三者保証や経営者保証をなくすなどの取り組みです。その成果の一つである「金融仲介機能のベンチマーク」は、ぜひ皆さんも参考にしていただきたいと思います。
2011年に「中小企業憲章」が閣議決定されてからは、「中小企業振興基本条例づくり」などの中小企業の社会的な地位向上に向けての活動も、大きな視点になってきたと思います。

■行政との関係づくり

2004年11月に、県商工労働局との懇談会が始まりました。この年の経営フォーラムに来賓として参加された県幹部の方が、同友会の元気さを実感されたのがきっかけです。最初は互いにぎこちなかったものの、私たちの「一緒に地域活性化を考えよう」という姿勢が伝わるにつれ、相互理解が進んだと思います。
行政への要望は理念的なものが軸になっており、政策への実現には時間がかかります。それでも粘り強く訴え続けることが大事です。他方、アンケートなどに寄せられたコメントは、行政の方にとっても大変新鮮です。奨学金返済の援助制度や、コロナ禍での家賃補助の施策など、すぐに実現したものもあります。

■自助努力を軸に

政策提言では、「私たちがすべきこと、できることは私たちが行う」というのが基本姿勢です。その上で中小企業問題を解決し、企業発展を通じて地域を元気にする、という視点で提言を行っています。
こうしたことに取り組むのが政策委員会の任務です。かなり幅広い知識や理解が求められますので、皆さんにはぜひ10年単位でこの委員会にかかわっていただきたいと願っています。