「女性部50周年行事に参加しよう」広島西支部廿日市地区会
- 開催日時:
- 2024/11/07(木)
- 会場:
- リーガロイヤルホテル広島
- 人数:
- 廿日市地区会から16名
- 報告者:
- 講師:石坂産業(株) 石坂 知子 氏
- 文責者:
- (株)山崎精研 山崎 茂則
見せる経営とインナーブランディングによる組織風土の改革
石坂知子氏は、1995年に石坂産業(株)に入社。2004年に専務取締役に就任し、現在に至ります。
周りから「産廃処理は男の世界で、女性に一体何が出来るのか。」と、言われるなか、現代表取締役社長である石坂典子氏と共に会社の危機を乗り越え、改革を実行されてこられました。現在「環境をデザインする会社」として、Zero Waste Design(すべての廃棄物が資源化する社会)をめざして、組織風土改革を推進されています。
会社の歴史と廃棄物処理の革新
石坂産(株)は、創業者である石坂好男氏が1967年に石坂組を設立、土木業から始まり、産業廃棄物中間処理業も行うようになりました。
しかしながら好男氏は、資源がないこの国で平然と使えるものが埋め立てられ、捨てられる状況を憂い、「再資源化して、ゴミをゴミにしない社会をつくりたい。」との想いで、石坂産業(株)に商号を変更し、事業を拡大しながらも環境に配慮した取り組みを行ってきました。
ところが1999年に地域の農産物からダイオキシンが検出されたというマスコミの誤った報道がなされました。地域からは石坂産業が原因であるかにようにバッシングが起こり、風評被害により、廃業を覚悟しなければいけない状況に追い込まれました。
この出来事をきっかけに、先ずは自分達の行っている事業から見直しを始めました。 焼却炉を廃炉とし、リサイクル・再資源化事業へ事業を転換させました。そして、地域環境、社員の労働環境の為に「全天候型独立総合プラント」を建設しました。
更に仕事を見てもらう事が地域の人たちの安心に繋がるとの想いで見学通路を作りました。初年度の見学者数は200人程度でしたが、700人、2,000人、10,000人と、年を重ねるにつれ増えていきました。そして社員の人たちにとっても、自分の働く姿を多くの人に見てもらうことで、この「誰かがやらなければいけない仕事」に意義を感じ、モチベーションアップに繋がっています。現在、石坂産業は産業廃棄物の減量化・再資源化率98%を実現し、更に100%をめざしています。
人材育成と共育
石坂産業の組織づくりは、ビジョン(Zero Waste Design)への共感を軸に、採用→受入→評価→報酬・賞賛→エンゲージメント そして再び採用へと繋がるサイクルです。
「仕事が教育の機会となる受入」では、特徴的な取り組みとして、「石坂技塾」があります。社員講師、社外講師によるビジネススキルや、技能・ノウハウ継承などの学びの場です。特に社員が講師を行うことで、教える側も教えられる側も共に育む「共育」が実践されています。
また、「持続的な挑戦を促すエンゲージメント」では、「ビジョンワークショップ」を行います。ここでは、「私が石坂産業で働く理由」、「自分の仕事の価値」にして、ビジョンの現在地を知る
事を目的とします。
地域との共生・環境教育
石坂産業が事業を営む三富(さんとめ)は、里山があった所で、やまゆりが多く咲いていたそうです。いつしかごみの不法投棄の場所となり、かつての姿を失っていました。
始まりは社員のボランティア活動によるごみ拾いからでした。
今、地域の自然環境を守り、次の世代へ継承していく里山保全活動を、地域の人たちの理解を得ながら進めています。そしてこの地の一部を「三富今昔村」と名付け、さまざまな環境教育が体験出来る場として開放しています。
石坂産業には毎年、学校の社会科見学をはじめ、大学院や企業の研修、グローバル企業トップの視察など、来場者は年間6万人を超え、海外からの視察も50か国以上になるそうです。