社員教育

社員教育活動~同友会理念に基づいた独自の活動

経営者の自己革新と強靭な企業づくり
 ~人材育成こそ企業発展の原動力~

同友会では「人」を中心に経営を考えます。経営者と社員とが、会社の中で社会を支える人間として互いに向き合い、共に育ち合う「共育」理念を掲げています。これは「人間尊重」「経営指針」と同様に、労使の関係をいかに強靭で確かなものにしていくかを議論する過程でまとめられてきたものです。

もちろん経営者と社員とは、会社内での立場・権限などが異なります。しかし、企業の社会的使命を互いに確認し、自らの人生と企業発展を重ねあわせることができれば、社員は「最も頼もしいパートナーになりうる」のです。なぜなら、経営者と社員は、企業活動を通じて社会にお役立ちするための同志だからです。

企業は常に社会・経済情勢の変化への対応に、正確さとスピードが要求されます。経営の原点を見つめ直し、適切な時代分析のもとで、経営戦略を再構築する必要があります。企業改革の柱は、経営者の自己革新であり、大切なことは、社員と共に社会的存在価値のある企業を築くことにあります。

社員教育委員会では、社員教育の原点である「経営者の自己革新」をはかるために、委員会の中では日常的に社員教育の課題を学ぶための場づくりをしています。委員会で率直な社員教育の悩みや課題を交流し、その解決策を互いの討論の中から見出そうとすることです。

社員教育は、経営者と社員の「人間共育」活動

一般的に社員教育を語る場合、企業活動を円滑にするための「技能教育」をさすことが多いのですが、教育学では、人間は一生学び続け、変革・成長し続ける存在とも捉えられています。人間の成長にとって最も大事なのは、「労働」から「仕事」への転換です。その違いは、自らの行なう仕事が、社会的にどのような価値や意味を持つかを認識することにあります。「生きる」とは何なのか、何のために働くのか、目的意識を持ちながら自己の人生を設計していくことが、自主的・自立的・自律的な人材の育成や人間性豊かな社会の構築への第一歩につながるのです。

このような考え方にそって、同友会では新入社員研修・フォロー研修、3年目社員研修、中堅社員研修、幹部社員研修、女性キャリアアップセミナー、共育セミナーなどが行なわれています。2019年には新型コロナ感染拡大の混乱の中、新入社員研修等を始め集合型である社員研修等の開催が危ぶまれましたが、一生に一度しかない新入社員研修を中止する選択はあってはならないと、オンライン開催等に切り替えての実施となりました。コロナ禍でその後の社員研修や委員会はオンライン開催を試み、活動を止めることはありませんでした。

同友会の社員研修の特徴は、スタッフ・講師は、すべて経営者が行なう手作りの研修であることです。研修会はあくまで「問題提起」の場に過ぎません。むしろ、その後の企業での取り組みが重要です。研修の基本的な考え方や内容を検討するために、研修参加企業で実行委員会を構成し、自分たちの手で実行することが重要だと考えています。また、実行委員会では、「教育基本法」や「ユネスコ学習権宣言」なども取り込んで、「そもそも」が論議されることが多く、「実行委員会に参加することが勉強になる」と好評です。特徴の二つ目に、「生きるとは」「働くとは」などの根源的な問いを軸に、研修が組み立てられていることです。つまり、それぞれの階層で必要な基本スキルだけでなく、より確かな社会人になるためのカリキュラムになっています。第三に、グループ討論などを多用し、受動的に聞いて終わるのではなく、主体的に自分の口から疑問や意見を出すことを中心にしていることです。第四に、研修を通じて、社員間のネットワークづくりを進めようとしていることです。研修会のグループが同窓会などを行なっていることも数多く、そこに経営者スタッフが招かれることもあります。

新入社員フォロー研修

中堅社員研修

頼れる最後の学校としての同友会

同友会では高校・中学の総合学習への講師派遣や、高校生等の職場体験学習の受け入れを続けています。これからの地域を担う若い人の育成に協力する趣旨で、2004年から取り組まれている県立広島商業高校との職場体験実習は、2011年に、この取り組みが評価され、「キャリア教育優良取組企業・PTA団体等」の文部科学大臣表彰を受けました。同友会の社員教育活動が注目を集めています。

労働人口の減少にともない人材確保が厳しい中、いま行われているインターンシップは採用戦略を目的とするものが主流になりました。しかし、同友会では変わらず、地域の若者を地域で育てる取り組みとすることが重要であると捉えています。今後も、中小企業が働くことを通じて人間的な成長のできる場であり、最も頼れる最後の学校として地域社会から期待を寄せられている存在であることを自負し、学びを深めていくことが必要なのです。

学校の先生との懇親会